【4953】黒龍 純吟(こくりゅう)【福井県】

2022年11月11日
酒蛙酒蛙
福井県吉田郡永平寺町 黒龍酒造
福井県吉田郡永平寺町 黒龍酒造

【S蕎麦屋にて 全5回の①】

 S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。「新しいお酒が入りましたよ。いらっしゃい」と連絡が来たので、すみやかに暖簾をくぐった。

 今回、トップバッターに選んだのは「黒龍 純吟」だった。黒龍酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、23種類を取り上げている。今回のお酒は2011年に当連載【566】で取り上げた「黒龍 純米吟醸」と同じかもしれない。しかし、あれから11年が過ぎ、酒名が純米吟醸から純吟へと変わり、瓶のラベルも大きく変わった。スペックも変わっているかもしれないので、再度取り上げることにする。さて、いただいてみる。

 上立ち香は、かすかな果実香。含み香は、セメダイン(酢酸エチル)とバナナ香が一緒になったものがけっこう広がる。この手の香りが大好きなわたくしにとってはうれしい限りだ(あくまでも個人的嗜好です)。上品感が漂う。きれいで、さらりとした口当たり。軽快感もある。味わいではやわらかな旨みが適度に出ており、これに大人しめの酸と、大人しめの辛みが融合。余韻も酸と辛み。全体的に味の各要素のバランスが良く、上品感・高級感のあるお酒だとおもった。

 次に燗をつけてみる。11年前に「黒龍 純米吟醸」を冷酒で飲み、「燗酒でも飲みたかった」と悔いを残していた。11年ぶりに実現した燗酒だ。温度は45℃。冷酒のときより辛みが前に出てくる。とはいっても、やわらかめの辛みだ。この辛みは酸を伴う。旨みもふくらみ、味幅が広がる。余韻は苦み。まったくもって飲み飽きしない酒質なので、ゆるゆると長時間飲むのに適したお酒だ。燗冷まし帯の温度になると、甘みも感じられるようになる。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。「福井県産五百万石が持つ米本来の旨みを引き出しつつ、爽やかな飲み心地を追求しました。味と香りのハーモニーが醸す深いうまさの純米吟醸酒です」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、使用米 福井県産五百万石100%、精米歩合55%、アルコール分15.5℃、おすすめの飲み方 冷して、製造年月22.3上」。

 蔵名・酒名「黒龍」の由来について、日本の名酒事典は「文化元年(1804)の創業。酒名は、九頭竜川の古名である、黒龍川にちなみ命名」と説明している。