【4951】龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米(りゅうせい)【広島県】

2022年11月09日
酒蛙酒蛙
広島県竹原市 藤井酒造
広島県竹原市 藤井酒造

【食事処Iにて 全2回の①】

 近所の食事処Iはここ数年、常連を集め月に1回、仲良し会を開いている。そして、いつのころからか、各メンバーが酒を持ち寄り、みんなで味を楽しむようになった。

 今回、まずいただいたのは「龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米」だった。当連載では、これまで「龍勢」を4種類を取り上げている。これは意外だった。自分の中では、15種類以上の「龍勢」を飲んでいるイメージだったからだ。それだけ「龍勢」には、味のしっかりとした酒、強い印象を持っている、ということなのだろう。

 今回のラベルは、わたくしが知っている「龍勢」のそれとは雰囲気がまったく違う。これについて、瓶の裏ラベルは以下のように説明している。

「広島県竹原の『龍勢』醸造元藤井酒造とワイン輸入会社モトックスとのコラボレーションから生まれたお酒。『BAILA』の名前は十二神将の一神で龍の守護神とも言われる『波夷羅大将』をモチーフとしています。蔵で長い間保存していた木桶を新たに組み直しその木桶で醸されました。滑らかな酒質の中に『木桶醗酵』による深みある味わいが感じられます」

 龍勢とモトックスのコラボとはどういう意味なのか分からない。酒質について両社が協議して決めたのか? モトックスが酒造の設計書を作成し龍勢に醸してもらったのか? 龍勢をモトックスの販売網に乗せるということなのか? さっぱり分からない。あまり例のないことなので、コラボの意味を書いてほしかった。

 さて、いただいてみる。上立ち香は、セメダイン(酢酸エチル)と完熟バナナが一緒になったバナナ菓子のようなもの。含み香も同様。甘旨酸っぱい深みのある味わいで、エキス感もある。まろやかで、やわらかめの口当たりながら、分厚くしっかりとした味わいの酒。酸がジューシーで、はつらつとして、フレッシュなのがいい。酸がチャーミング。余韻は苦みと渋み。白ワインをおもわせる酸の強さで、味全体に力強さがあるお酒だった。

 もののはずみで燗酒でもいただいてみた。温度は45℃。おおおっ、超酸っぱい。甘旨酸っぱい。酸っぱいけど旨い、旨いけど酸っぱい。酸味酒大好き人間のわたくしとしては、冷酒もいいけど、燗酒はもっと良かった。やわらかな口当たりで、軽快感もあり、非常に飲みやすい。45℃からスタートし、40℃に下がったあたりが一番味がふくらみ、ベストとおもった。

 モトックス社は自社ホームページで、この酒を以下のように紹介している。「マシュマロやクリームの様な優しくまろやかな味わいと心地よい高めの酸が絶妙。木桶醗酵による味の深みとふくよかさも感じられます。ジビエなどボリューム系肉料理とも相性抜群」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、使用米 広島県産八反錦100%、精米歩合60%、アルコール分16度、使用酵母 きょうかい7号、製造年月2021.10」。使用米の「八反錦」は広島県立農業試験場が1973年、母「八反35号」と父「アキツホ」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。1983年に命名、1984年に種苗法登録された酒造好適米。今や、「八反錦」といえば広島、広島といえば「八反錦」というほど、全国的に著名な酒米となっている。

 銘柄名「龍勢」の由来について、「龍勢」のほかの酒の裏ラべルは、以下のように説明している。「弊蔵の創業は文久三年(1863年)に始まりその当時より高級酒には『龍勢』と銘を付けておりました。此の銘柄は弊蔵の裏山『龍頭山』の麓から湧き出る井戸水を使用したところ素晴らしい酒が醸されたことから銘付けたものであります」