【1869】笑亀 直汲み 無濾過生原酒(しょうき)【長野】


週末の夕方、晩酌のため、歩いて近くのH居酒屋へ。H居酒屋ではわたくし、ホワイトボードに書かれている酒メニューの上から順番に飲んでいくことにしている。考えなくてもいいからだ。カウンターの定位置に陣取り、酒メニューを見る。この日は「笑亀 直汲み 無濾過生原酒」を飲む番だ。聞くのも見るのも初めての酒だ。
わたくしが「笑亀」を注文したら、店主がこう言った。「酒屋さんが『開けた2日後以降の酒質にご注目ください』というから栓を開けておきました。きょうがちょうど2日目です」。おおおっ、なんと行き届いていることか。わたくしが週末に来ることを読み、それに合わせて栓を抜いておいたとは! ありがたいことだ。持つべきは、なじみの居酒屋だ。まずは冷酒でいただいてみる。
店主「まったりした甘さが出ます」
酒蛙「すんげぇ酸が出る。いいね」
店主「ん? それほど酸は感じないけど」
酒蛙「感じる、感じる」
店主「酸は後から来るね」
酒蛙「余韻は苦渋。旨みたっぷりだ」
店主「甘みを感じる。アルコール分がすごい。20度もありますっ!」
酒蛙「胃のひだひだに、アルコールが沁みていくのが分かる。すきっ腹にきくよ」
店主「濃いもん。ああ、苦い」
酒蛙「ものすごく濃醇だ。ドライフルーツのような風味・香りがする」
店主「あっ、酸が出てきた、出てきた。苦みもある」
酒蛙「すごく力強い。野太い酒だ」
店主「ビギナーには飲みにくいかも」
酒蛙「とにかく、すげぇ酒だ。しかし、アルコール分20度にはあまり感じないなあ」
店主「うん、感じない」
酒蛙「ひとことで言うならば甘旨酸苦重濃強という酒だ」
店主「はい、その通り。いい酒です」
酒蛙「それにしてもつぇ~なぁ~! 後口や余韻に辛みが出てきた」
次に、ぬる燗(40℃)にして飲んでみる。一般的に、ぬる燗にすると冷酒のときより味が強くなる傾向にある。冷酒の段階ですでに非常に力強い酒が、ぬる燗にすればどうなるのか。やや及び腰ながらも、興味が勝り、試してみる。ぬる燗ができた。
酒蛙「甘っ! 飴的な風味と甘さだ」
店主「甘いなあ。後酸だ」
酒蛙「酸が出る出る出てくる」
店主「濃いなあ。きつい。苦辛だ。燗にすると、超ヘビーになる」
酒蛙「うん、冷酒でも非常に力強かったけど、さらに力強くなる。辛みが出てくる、出てくる」
店主「余韻が辛い」
酒蛙「中盤からずいぶん辛みが出てくる」
店主「辛い辛い」
蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。
「『究極の家飲み酒』に挑戦。一夜にして有名になったシンデレラ銘柄。飛び切り美味しい部分だけを垂れ口から瓶に直汲みする贅沢なお酒」
「笑亀酒造の日本酒は、信州塩尻伝統の味。
信州の水・風・土の味がする初しぼりの直汲みはすっきりとした旨みが、口いっぱいに広がります。笑亀酒造の『直汲み』は飛び切り美味しい部分だけを垂れ口から瓶に直汲みする贅沢なお酒です。非常に手間がかかるため、全国でも多くは造られていません。笑亀酒造では蔵元でしか味わえなかった直汲みを販売します。笑亀酒造は、すっきりとしながら味わい深い、『究極の家飲み酒』に挑戦しています。初しぼりらしく少し苦味がありながら、濃厚だけどフレッシュ感があるキレのよさがここにあります」
う~む、「究極の家飲み酒」か。たしかにべらぼうに旨い酒だが、なにしろ味が濃く強いため、家で毎日毎日飲むのは、やや厳しいなあ。すくなくともわたくしの場合だが…。
ラベルの表示は「原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール、精米歩合70%」にとどまるが、蔵のホームページでは「使用原料米 美山錦/一般掛米」という表現で開示している。