(710)調査と飼育の両方がんばる コシノハゼ
2022年05月05日


泳ぐコシノハゼ。ひれがきれいだ
新潟市の水族館、マリンピア日本海の入り口に「国内初展示 コシノハゼ」という掲示があった。どんな魚なんだろう。
研究室のようなスペース「育成室」に置かれた水槽で見つけた。7~8センチの魚が何匹か、底の砂の上でじっとしている。1匹がゆらゆら泳ぎだした。体が透きとおり、目がくりっとしている。
担当の田村広野(ひろや)さんの説明を聞いた。
「淡水魚は絶滅が心配されている種が多いんですが、中でもコシノハゼは特に心配な『絶滅危惧ⅠA類』になっています。国内希少野生動植物種に指定され、捕獲や飼育は、許可を受けなければできません」
田村さんたちは2019年から調査を始め、その年、新潟県内で3カ所の生息地を見つけた。でもその後は見つかっていない。「たまたま運が良かったんだと思います」
繁殖にチャレンジ中だ。「繁殖期になると、メスに婚姻色が出て真っ黒になり、オスにアピールします。そこまでは行くんですが…」
底の砂にもぐっていることがあるし、見た目も地味だ。
「絶滅しそうなのにほとんど知られていない魚です。みんながこの魚のことを知って、守っていこう、自然を大切にしていこうという気持ちになってほしいです」
この魚を守るために田村さんは、野外調査と水族館での飼育の両方をがんばっているんだ。(文・写真、佐々木央)=2022年2月配信

水槽の底でじっとしているコシノハゼ