創業40年、蒲田の手作り「あんみつ」 【GOHANスペシャル】


東京・蒲田の繁華街から外れた閑静な住宅地にちょっと古風なお店がある。和菓子の店「てん屋」だ。
昭和の風景をそこだけ切り抜いたようなレトロな店構え。「ここには、他にはないこだわりが必ずあるに違いない」。そうにらんで、足早に店に入った。
「てん屋」は今のご主人が創業してから40年。ご家族で経営されている。息子さんにそう聞いて「手作り」の印象が強くなった。「手作りならでは」の新鮮な味わいを期待した。
店内は「数寄屋造り」。木製の長いテーブル1卓と長椅子2脚。落ち着いた雰囲気だ。ここが平成の東京であることを忘れ、何十年も前にタイムスリップしたような気分になる。

人気商品は「あんみつ」と「ところてん」。屋号の由来がところてんの「てん」と聞き、「ところてん」に心を動かされつつも、元来が甘いもの好き。悩んだ末に「あんみつ」を選んだ。
黒糖とあんの癖のない甘み。一口食べると、口の中に何とも言えない涼しさが広がる。初夏の風の爽やかさを感じさせる一品。そろそろ蒸し暑さが気になるこの季節。夏を先取りして清涼感を満喫できた。
「てん屋」の味に対するこだわり。そのこだわりにこそ、街外れの住宅地で40年もこの味を守りぬいた秘訣(ひけつ)があるに違いない。

「てん屋」の奥さんは「こだわりは毎日作って売れる分だけ売ることです。売れたらまた作ります。食材は国内産のものを使用しています。小豆も天草も100%の素材を使い、混ぜ物はしていません」と語る。
食材の産地は、天草が伊豆、小豆は北海道、黒蜜に使う黒糖は沖縄である。あんみつに載せる餅菓子の求肥(ぎゅうひ)はもちろん手作り。常に新しいもち米の粉を使用し、もちもちした食感が味わえる。
「ところてん」は500円、「あんみつ」と「みつまめ」は700円。この値段もうなずける。他に「もなか」や「おはぎ」「水ようかん」などもあり、持ち帰りもできる。
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