【詳報】三浦が3連覇、北口は敗れる 陸上・日本選手権第2日
2023年06月02日


男子3000㍍障害 8分21秒41で優勝した三浦龍司(左端)=ヤンマースタジアム長居
陸上の世界選手権(8月・ブダペスト)代表選考会を兼ねた日本選手権第2日は2日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、男子3000メートル障害は東京五輪7位の三浦龍司(順大)が3連覇を果たした。女子やり投げでは昨年の世界選手権銅メダルの北口榛花(JAL)が敗れる波乱。女子1500メートルは日本記録保持者の田中希実(ニューバランス)が4連覇した。
第2日の決勝種目 女子400メートル 男子1500メートル 男子3000メートル障害 男子200メートル 女子100メートル 女子1500メートル 男子円盤投げ 女子やり投げ
▽男子3000メートル障害決勝 ①三浦龍司(順大)8:21.41 ②砂田晟弥(プレス工業)8:26.36 ③菖蒲敦司(早大)8:28.16 ※日本記録 8:09.92 ※参加標準記録 8:15.00
東京五輪7位の三浦が「横綱相撲」で3連覇。世界選手権代表に決まった。2周目を前に先頭に出ると、ぶれのないフォームで軽やかに周回を重ねた。2000メートル付近からはペースを上げ、あっという間に後続を引き離し独走態勢に。ラスト1周はハードルに足をかけることなく跳び越えた。最後の水濠では体勢を崩したものの、大きな影響はなかった。
三浦龍司の話 勝つことが最低限の目標。レース展開には納得している。(最後の1000メートルでは)感覚としては(タイムを)上げられていると思ったが、フィニッシュタイムを見たら、遅かった。どこが悪かったのかしっかりと確認したい。
▽女子やり投げ決勝 ①斉藤真理菜(スズキ)61m14 ②北口榛花(JAL)59m92 ③上田百寧(ゼンリン)58m77 ※日本記録 66m00 ※参加標準記録 63m80
斎藤が世界選手権銅メダリストの北口を破って、5年ぶりに優勝した。終盤5投目に61メートル14を投げて、北口を逆転。6投目も60メートル超と力強かった。北口はスピードが上がった助走と、投てきの技術がかみ合わず、苦しんだ。1投目で60メートル近くまで運んだものの、その後は本来の伸びやかさ、しなやかさを出せないまま終わった。
斉藤真理菜の話 勝てたことがすごくうれしい。腰などのケガでとても悩んでいた。やっと乗り越えて、2、3年前から調子が上がっていた。やっと勝てた。
北口榛花の話 日本選手には負けてはいけないと思ってやっていた。くやしいし、冷静に試合ができていたら、と思う。大会記録を投げたくて、そればかり気にして…。気持ちが前のめりになった。
▽女子1500メートル決勝 ①田中希実(ニューバランス)4:08.29 ②後藤夢(ユニクロ)4:17.66 ③信桜空(パナソニック)4:18.02 ※日本記録 3:59.19 ※参加標準記録 4:03.50
力の差を見せつけて、4連覇を達成した。集団を形成していたが、残り2周を合図にペースアップ。後続はだれも追えなかった。雨を切り裂いていく、大きなストライド。最後の1周では、もう一段階ギアを上げた。世界での戦いを意識したような、シャープで大きな腕振りも印象的。
田中希実の話 ラスト400メートルで60秒を切りたいという気持ちもあったが、世界に通用するロングスパートとも披露したかった。例年よりは速いタイム。うれしい気持ちがある。今は根を伸ばすというか、スタミナとスピードを地道につけている段階。今後はタイムがついてくるような世界への走りをしたい。
▽男子200メートル決勝 ①鵜沢飛羽(筑波大)20.32 ②宇野勝翔(順大)20.55 ③水久保漱至(第一酒造)20.66 ※日本記録 20.03 ※参加標準記録 20.16
20歳の鵜沢が自己ベストをマークして初優勝した。号砲への反応は0秒165で2番目。前半はすぐ外側のレーンを走った宇野に先行されながらも、落ち着いてカバー。カーブを出ると抜けだし、宇野や水久保を振り切った。
鵜沢飛羽の話 やってきたことが、ちゃんと試合で出てくれた。日本代表を目指してやってきた。日本選手権という大きな場で優勝できてうれしい。今後は国際大会に出場できるように、しっかりと自分の強さを示していけるようにしたい。
▽女子100メートル決勝 ①君嶋愛梨沙(土木管理総合)11.59 ②御家瀬緑(住友電工)11.66 ③蔵重みう(甲南大)11.72 ※日本記録 11.21 ※参加標準記録 11.08
君嶋が混戦を制して連覇を達成した。スタート直後は蔵重が飛び出したが、君嶋はパワフルに加速。中盤スピードに乗ると、蔵重をかわして先頭に出た。御家瀬は終盤に迫ったものの、及ばなかった。
君嶋愛梨沙の話 連覇ができるか不安なところがあった。無事に(連覇)できてよかった。目標は10秒台や日本記録なので、タイムは残念だが、きっちり優勝できてよかった。
▽男子1500メートル決勝 ①河村一輝(トーエネック)3:38.45=大会新 ②高橋佑輔(北大大学院)3:38.69 ③森田佳祐(SUBARU)3:38.75 ※日本記録 3:35.42 ※参加標準記録 3:34.20
河村一輝の話 (2年ぶり2回目の優勝に)おととし、日本選手権に勝って、日本記録も出して…。それから勝てないレースが続いていた。久々に満足いく勝ち。タイムも良くてうれしい。日本記録の更新もして、いい形でパリ五輪に出場できるようにしたい。
▽女子400メートル決勝 ①久保山晴菜(今村病院)53.19 ②児島柚月(立命大)53.99 ③安達茉鈴(園田女大)54.05 ※日本記録 51.75 ※参加標準記録 51.00
久保山晴菜の話 優勝を目標にしていた。達成できてうれしい。200メートルからしっかり仕掛けていくことをポイントにしていた。そこで抜け出せたのがよかった。
▽男子円盤投げ ①堤雄司(ALSOK群馬)57m98 ②湯上剛輝(トヨタ自動車)56m78 ③幸長慎一(四国大AC)54m77 ※日本記録 62m59 ※参加標準記録 67m00
堤雄司の話 (10度目の優勝に)僕ひとりでできたことではない。色々な人たちのおかげで10回も勝たせてもらっている。(雨のコンディションで)1回目に勝負するしかないと…。いちかばちか。いい方に出てくれた。失敗していたら低い順位で終わっていた。


女子やり投げで最終の6投目を投げ終え、2位となった北口榛花=ヤンマースタジアム長居