【5136】箱館物語 ふっくりんこの純米酒 生酒(はこだてものがたり)【北海道】

2023年03月20日
酒蛙酒蛙
北海道亀田郡七飯町 箱館醸蔵
北海道亀田郡七飯町 箱館醸蔵

【TU会 全6回の⑥完】

 いつもはB居酒屋で開いているTU会(異業種間交流唎酒会)だが、今回は、ちょっと訳があってE居酒屋で開催した。面白いもので、居酒屋を変えるだけで酒のラインナップがガラリと変わる。今回のラインナップは、唎酒師でE居酒屋の日本酒アドバイザーを務めているKさんがそろえたものだ。

「大門」「利休梅」「楽天」「福和蔵」「五稜」と飲み進め、最後にいただいたのは「箱館物語 ふっくりんこの純米酒 生酒」だった。この蔵は新規蔵で、当連載ではこれまで、「【4967】郷宝 特別純米 彗星」1種類を取り上げている。

 蔵が新規に立地した経緯について、地元函館新聞の2021年9月15日付ウェブサイトは、以下のように報じている。
     ◇
 日本酒の酒造元として35年ぶり、蔵元としては84年ぶりに道南地域に生まれた「箱館醸蔵有限会社」。事業主体は100年以上の歴史を持つ七飯町の酒販店「冨𠩤商店」。杜氏に留萌管内増毛町の「国稀酒造」で杜氏兼製造部長を務めた東谷浩樹さんを迎え、JR大中山駅前に建築した酒蔵で2021年2月に日本酒の製造を開始し、新銘柄「郷宝」が誕生した。
(中略)
 酒販店として日本酒に携わり、過去に道外の酒蔵で酒造りを学んだことのある冨𠩤節子社長は、「旅行に行けば、郷土料理や名物料理に合う、その土地の水と米が作り出す地酒がある。道南には山海の美味が豊富にあるのに、それに合わせる地酒がないのがずっと寂しかった」と話す。栽培が困難だった道南地区にも近年、酒造好適米が生まれ、酒造りができる環境が少しずつ整ってくると「自分たちの手で地酒を作り出そう」と心を決め、開業へ向け走り出した。新規発行が原則認められていない清酒製造免許の取得が、一番の難関だったが、酒造事業から撤退を考えていた岡山県内の酒造会社から事業を継承してクリア。その熱意に応えたいと酒造りに知見の深い東谷さんが立ち上げメンバー入りすると、動きは一気に加速した。(後略)
     ◇

 さて、いただいてみる。

 上立ち香、含み香とも果実香がほのか。香りを抑えているのだろうか。ガッツリ系の口当たり。分厚くて、力強さがあるが、キレ良く、きれい感もある。ふくよかな旨みと酸が良く出ており、旨酸っぱくしっかりとした味わい。果実的ジューシー感もある。余韻は苦みがすこし。味に深みを感じる。モダンタイプ寄りの、フルボディー酒。あるいはモダンリッチ。あるいは醇酒。あるいは濃醇旨口。

 ラベルのスペック表示は「原料米 北海道産ふっくりんこ100%使用、原材料名 米(七飯町産)米こうじ(七飯町産米)、精米歩合65%、アルコール分16度、杜氏 東谷浩樹」。

 使用米の「ふっくりんこ」は北海道立道南農業試験場(北斗市)が1993年、母「空系90242B」(その父は「きらら397」)と父「ほしのゆめ」(その父は「きらら397))を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。2003年に命名、2006年に種苗法登録された飯米用品種。「ふっくりんこ」2015年産米の食味ランキングで「特A」を取得。「ななつぼし」「ゆめぴりか」に続いて、3番目の特A米となった。2022年産米でも特A米に格付けされた。

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