日銀総裁に植田和男氏を起用へ 首相意向、戦後初の経済学者出身

2023年02月10日

岸田文雄首相が4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁(78)の後任に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏(71)を起用する意向を固めた。関係者が10日、明らかにした。経済学者出身の総裁は戦後初となる。副総裁は前金融庁長官の氷見野良三氏(62)と日銀理事の内田真一氏(60)を候補とする。14日に国会に人事案を提示し、衆参両院の同意を得て総裁は4月9日、副総裁は3月20日に就任する。任期はいずれも5年。
植田氏は金融政策の研究が専門だ。東大教授から1998年4月に日銀審議委員になり、再任されて2005年4月まで7年間務めた。在任中、日銀が採用したゼロ金利政策や世の中のお金の量を増やす量的金融緩和といった非伝統的な景気刺激手段を理論面から支えた。岸田首相はこうした実績を高く評価した。
植田氏は10日夜、共同通信などの記者団に対し「現状の日銀の金融政策は適当だ」とした上で「当面は金融緩和を続ける必要がある」と語った。24日に衆院議院運営委員会で所信を表明する見通しだ。