イギリスで定着したNFL人気 大盛況の「ロンドンゲーム」

2022年10月04日
共同通信共同通信
生沢 浩 いけざわ・ひろし
「ロンドンゲーム」が行われたスタジアムには6万人を超える観衆が詰めかけた
「ロンドンゲーム」が行われたスタジアムには6万人を超える観衆が詰めかけた

 

 NFLの第4週は恒例の「ロンドンゲーム」の1試合目が10月2日、トッテナムホットスパースタジアムで行われた。今季ロンドンで開催される3試合シリーズの初戦は、最終プレーまでもつれ込む接戦となり、バイキングズがセインツに28―25で競り勝った。

 

 筆者はその2日後に同スタジアムで行われるNFLインターナショナルコンバインを視察するためにロンドンを訪れていたので試合をスタジアムで観戦することができた。ロンドンでNFLを観戦するのはこれが初めてだ。

 

 スタジアムについてまず驚いたのはファンの多さだ。「ごった返す」という言葉がぴったりな混雑ぶりで、コロナ禍で密を避けることに慣れてきただけにひるむような思いだった。

 

 スタジアムに隣接されたNFLショップにはゆうに100メートルは超えるだろうと思われるファンの行列が4重にも5重にもなっていた。これだけの人数が収容できるのだろうかといらぬ心配をしてしまった。

 

 NFL好きのイギリス人の友人からロンドンゲームの人気の高さは聞いていたのだが、これほどまでとは思わなかった。当然スタジアムも満席だった。

 約6万人を収容するという同スタジアムに、NFL発表で6万300人余りがこの試合に訪れた。

入場を待つロンドンのNFLファン
入場を待つロンドンのNFLファン

 

 試合が始まってからも驚きがあった。それはクラウドノイズの大きさである。本場アメリカでのゲームと全くそん色のないボリュームで、ロンドンっ子もかなりのNFL通になったようだ。

 ただ、アメリカで見るレギュラーシーズンゲームと大きく異なるのは、クラウドノイズが両方のチームに浴びせられたことだ。アメリカではホームチームがクラウドノイズを受けることはない。ふがいないチームにファンがブーイングすることはあるが。

 

 この試合はセインツがホームチームの扱いだったが、セインツのオフェンスがサードダウンになったときも容赦ないクラウドノイズが降り注いだ。

 

 試合をしているチームとは関係のないほかのNFLチームのジャージを着たファンが多くみられるのもロンドンゲームの特徴だ。

 バイキングズとセインツの割合が多かったのはもちろんだが、ほかにもスティーラーズ、バッカニアーズ、イーグルス、パッカーズなどさまざまなユニフォームが混じり合い、ファンだけを見ていればさながらオールスターゲームの様相だった。

 

バイキングズRBマティソン(2)のTDラン(AP=共同)
バイキングズRBマティソン(2)のTDラン(AP=共同)

 

 ロンドンにNFLの人気と楽しみ方が浸透しているのを見て羨ましくもあり、ねたましくもあったというのが正直なところだ。

 満員の観客席を見て「これならばNFLも喜んでロンドンで試合を開催するわけだ」と納得せざるを得なかった。

 

 試合が終わったのは現地時間の午後6時ごろだっただろうか。最寄りの駅まで歩く道すがら、いくつものスポーツバーでNFLの中継がされているのを見た。

 今まで考えたこともなかったが、この時間はアメリカ東部では午後1時にあたる。ちょうどNFLの試合が始まるころだ。つまり、ロンドンでは日曜日のプライムタイムにNFLの試合をテレビで見ることができるのだ。これもNFL人気が根付いた大きな理由の一つだろう。

 

 一夜明けて、イギリスの有力紙「ガーディアン」を読んでまた驚いた。NFLのニュースはページの5分の1程度の扱いなのだ。

 同日に開催されたサッカーのプレミアリーグのシティとユナイテッドの「マンチェスターダービー」の記事が見開き2ページにわたっていたのとは大きな差だった。イギリスにおけるサッカーの存在感たるや、恐るべしである。

 

「ロンドンゲーム」の模様を伝える新聞のスポーツ欄
「ロンドンゲーム」の模様を伝える新聞のスポーツ欄

 

 話がそれてしまったが、ロンドンでNFL人気が定着したことは間違いない。ロンドンゲームが毎年行われるようになったのは2007年だ。

 15年という歳月がスポーツの人気定着にとって長いのか短いのかは分からないが、NFLの国際戦略の成功例がここにあることだけは、紛れもない事実である。