2023年「プロボウル」はフラッグで実施 NFLオールスター戦

2022年09月29日
共同通信共同通信
生沢 浩 いけざわ・ひろし
2018年のNFLオールスター戦「プロボウル」で最優秀選手に選ばれたウォーカー(左)とミラー=オーランド(AP=共同)
2018年のNFLオールスター戦「プロボウル」で最優秀選手に選ばれたウォーカー(左)とミラー=オーランド(AP=共同)

 

 NFLが、長年オールスター戦としてファンに親しまれてきた「プロボウル」のフォーマットを大きく変更すると発表した。2023年に行われる大会からプロボウルはフラッグフットボールの試合となる。

 

 NFLの発表によれば、プレーオフのカンファレンス決勝後とスーパーボウルの間の1週間を「プロボウルゲームズ」と位置づけ、選手たちがコンタクトを伴わない技術を競い合うイベントを数日間にわたって行い、その締めくくりとしてAFCとNFCが対戦するフラッグフットボールゲームが開催される。

 

 プロボウルは1951年に始まり、1980年から約30年間ハワイで開催された。

 当時はシーズン中に活躍した選手をハワイ旅行でねぎらうといった意味合いが強く、出場する選手にもどこかのんびりした雰囲気があった。

 スーパーボウルの翌週に行われていたため、勝利チームの選手をライバルたちが祝福する姿もプロボウルならではの光景だった。

 

 ただし、試合としての魅力はそれほどなく、テレビの視聴率も低迷した。ロジャー・グッデル氏がコミッショナーに就任した2006年を契機に、プロボウルの在り方にも変化がもたらされた。

 まず開催日がスーパーボウルの前週になり、開催地もハワイからスーパーボウルの会場であるフロリダ州オーランドやラスベガスなどを転々とするようになり、引退した選手がキャプテンを務めるなど趣向を凝らしてきた。

 

 プロボウルで一番の懸念は選手のけがだ。誰しもエキシビションゲームで負傷をしたくない。

 守備のブリッツ禁止など安全に配慮したルールは古くからあったが、近年は選手が明らかに手を抜いた緩慢プレーを見せることもあり、一気にファン離れが進んだ。

 

 NFLとしてはオールスター戦は残したいが、選手の安全は守りたいというジレンマの中でフラッグフットボールへの転換を決断したのだろう。そして、NFLにこの決断をさせた要因はあと二つある。

 

 一つは2028年のロサンゼルスオリンピックだ。フラッグフットボールは公開競技として実施される可能性がある。

 NFLがオールスター戦でフラッグフットボールを行えば、公開競技としての採用に追い風になるはずだ。そして、当然NFLにも見返りがある。

 

 ロス五輪を機にフラッグフットボールを世界的に広め、将来的にタックルフットボールの人気向上にもつなげられれば、NFLは世界中にマーケットを広げることができる。

 NFLは今年7月にアラバマ州で行われたワールドゲームズでもフラッグフットボールを強く支援しており、国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)との関係も密にしている。

 

 IFAFは元々タックルフットボールの国際連盟として発足したが、現在はフラッグフットボールに重きを置いている。経済基盤が必ずしも安定していないIFAFにとって、NFLの後ろ盾は心強いはずだ。

 

 もう一つの要因はNFL人気のかげりである。アメリカンフットボールは米国で最も人気のあるスポーツであるし、その最高峰リーグであるNFLの人気と経済効果は依然として圧倒的だ。

 しかし、昨今米国でサッカーブームが起きており、特に年少者を中心に競技人口が急速に増加している。

 脳しんとうなどの恐れがあるアメリカンフットボールより、安全なサッカーをやらせたいという親が増えてきているのが理由だ。サッカーがNFLを脅かす存在になる前に方針転換をしたということだ。

 

 80年代までののんびりしたプロボウルの雰囲気が好きだった筆者には、今回の変更は正直なところ残念なのだが、時代の流れを読んで素早く手を打つNFLの経営戦略はさすがである。