顔の赤みは「酒さ」かも 他の病気との併存に注意 有効な薬、保険適用に

2022年09月27日
共同通信共同通信
 顔が赤らんだり、ぶつぶつができたり、時には鼻が腫れあがったりする。それは「酒(しゅ)さ」という病気かもしれない。皮膚科ではよく知られた病気だが、一般の人の認識は乏しく、名前もさほど知られていない。最近、諸外国で標準的に使われている薬が日本でも保険適用され、治療が進歩しているが、診断に至らないケースも多いという。病気の特徴や注意点について専門家に聞いた。
隠れた「酒さ」に注意を促す「りふ皮膚科アレルギー科クリニック」の山崎研志院長=宮城県利府町
隠れた「酒さ」に注意を促す「りふ皮膚科アレルギー科クリニック」の山崎研志院長=宮城県利府町

 

 ▽三つの症状
 酒さは「酒皶」と書く。「皶」は大きな日本語辞書でもこの病名以外に用例が載っていないが、鼻にできたニキビのことだ。ただし、酒さとニキビは違う病気であることが分かっている。
 この病気に詳しい「りふ皮膚科アレルギー科クリニック」(宮城県利府町)の山崎研志院長(東北大臨床教授)によると、酒という文字が病名に入っているが、飲酒は赤みをはっきりさせる「増悪因子」であるものの、発症自体を誘発するわけではない。
 「症状はほぼ三つに大別される」と山崎さん。一つは「赤ら顔」。頰や鼻を中心にできる赤みで、細い血管が見えるのが特徴的だ。ほてりを伴う場合も多い。もう一つがぶつぶつした発疹で、膿疱(のうほう)やかたまった隆起(丘疹)ができて、かゆみがある。さらに進展すると鼻の皮膚が厚くなって腫れる「鼻瘤」に至る。
 一つだけが当てはまる患者は少なく、いくつかの症状が重なりがちだ。
 
 

 

 ▽免疫に関係?
 酒さの患者は中高年に多く、女性の方が男性よりも多いという報告があるが、まだ十分には分かっていない。
 病気の原因も不明だが、山崎さんは「これまでの研究で、正常な皮膚で傷や感染に対して働く自然免疫に何らかの異常が起きるのが原因の一つと考えられる」と話す。
 アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など症状が似ている病気は多い。それぞれで治療法が異なるため、しっかりと鑑別診断することが重要だ。
 「他の病気が見つかったからといって酒さが否定されたわけではない」と山崎さんは注意を促す。隠れた酒さに気付かなければ、治療が遅れて症状が悪化する懸念がある。なかなか治らない赤ら顔は、皮膚科専門医に相談することが必要だ。
 「症状が進行したきっかけ」を自覚することも予防につながるという。
 米国の患者千人以上に症状を起こすきっかけを聞いた調査では、回答が最も多かったのが「日光に当たる」。以下「心理的ストレス」「高温の気候」「風に当たる」「激しい運動」「飲酒」「熱い風呂」などが続いた。
 光や熱など皮膚への刺激が影響することが分かるが、山崎さんは「患者それぞれに固有の増悪因子がある。それを知って、できるだけ避けることが大切だ」と指摘する。
 ▽診断増えそう
 治療は症状によって異なる。赤みが目立つなら血管拡張を抑えるレーザー治療や末梢(まっしょう)血管の収縮を促す外用薬(軟こう)。ぶつぶつや膿疱があれば抗炎症効果のある外用薬や内服薬が用いられる。鼻瘤では皮膚の切除やレーザー治療など外科治療が検討される。ただ、山崎さんによると日本ではこうした治療のほとんどが未承認もしくは保険適用外で、治療が長引くことも多いという。
 今年5月、症状改善に有効だとして海外で広く使われているメトロニダゾール外用薬(製品名ロゼックスゲル)が日本でも酒さを対象として保険適用になった。これを機に酒さの診断が増えそうだ。関係学会ではこうした進展を取り入れて診療ガイドラインを改定。標準的な治療が普及することが期待される。(共同=由藤庸二郎)