途上国の子、年10万人死亡 RSウイルス感染症

2022年08月02日
共同通信共同通信

  誰もがかかる風邪の一種「RSウイルス感染症」によって、発展途上国を中心に世界で毎年10万人超の5歳未満の子どもが命を落としているとの推計を、英エディンバラ大などの国際研究チームがまとめ、英医学誌ランセットに発表した。

RSウイルスの電子顕微鏡写真(ゲッティ=共同)
RSウイルスの電子顕微鏡写真(ゲッティ=共同)

 

 ほとんど免疫を持たない生後6カ月未満の乳児が半数近い4万5700人を占める。死亡の97%が低所得国や中所得国に集中しているとみられ、高所得国との医療格差があらためて浮き彫りになった形だ。
 RSウイルスを巡っては、妊娠中の母親に注射するなどさまざまなタイプのワクチンが開発中。チームは「生後間もない赤ちゃんを守るワクチンが実用化できれば健康上の損失を大きく減らせる」としている。
 チームは480以上の研究報告を基に、RSウイルスによる子どもの感染や重症化に伴う入院、入院中の死亡数などを計算する手法を開発。2019年には世界で5歳未満の3300万人がRSウイルスに感染して肺炎や気管支炎などになり、360万人が入院したと推計した。
 このうち病院で死亡したのは2万6300人強だが、途上国では入院できずに家庭で亡くなる子も多い。病院外を含めると死亡数は10万1400人に達するとみている。
 世界では生後6カ月までに死亡する子の28人に1人、5歳までに死亡する子の50人に1人が、RSウイルス感染が原因と考えられるという。
 チームは効果的なワクチンによって年2万人以上の幼い命を救うことができると指摘。日本などで持病のある子を対象に使われている重症化予防薬の有用性も強調する。

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