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【4830】鶴齢 山廃 純米(かくれい)【新潟県】

2022.7.2 21:56
新潟県南魚沼市 青木酒造
新潟県南魚沼市 青木酒造

 昼、そばを食べよう、と蕎麦屋に入った。気取らない蕎麦屋。近年グルメメディアでもてはやされている、訳ありこだわり小難しい敷居の高い蕎麦屋とは違う、ごく普通の蕎麦屋だ。

 そばを注文しよう、としたら壁の貼り紙「鶴齢山廃純米あります」が目に入った。「ん? 鶴齢は山廃を造っていたっけ?」。頭の中をハテナマークが駆け巡った。

 わたくしは、当連載に掲載した酒のラベル写真をすべてスマホに入れ、検索できるようにしている。こうしないと、前に飲んだことがある酒を忘れてしまい、再び飲んでしまうので、そのリスクを回避するため、見慣れないラベルの酒を見たら必ず検索することにしている。検索の結果、鶴齢の山廃純米はまだ飲んだことがないことが分かった。

 よーし、そばの前に鶴齢だ。1合を注文する。「鶴齢」は飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで19種類を取り上げている。淡麗辛口のお酒が多い新潟酒だが、「鶴齢」はその中にあって、濃醇旨口酒路線を貫いてきた。時代の“先”を行く「鶴齢」だったが、時代がようやく「鶴齢」に追いついてきた感がある。さて、コップ酒の鶴齢をいただいてみる。

 上立ち香は乳酸系。含み香も漬物など乳酸をおもわせる酸。豊かで複雑な旨みと酸がうまく調和している。いかにも山廃仕込みの酒をおもわせる味わい。どことなく懐かしさを感じる、昭和的なたたずまい。しっかりとした味わいで、余韻は軽い苦辛み。クラシックタイプのミディアムボディ。燗酒に良さそう。

 鶴齢を飲み切ったあと、わたくしは、もりそばをいただいた。有意義な昼食だった。

 瓶の裏ラベルには、この蔵のコンセプトが以下のように書かれている。

「青木酒造は、300年余り継承され続けてきた酒造りの技術と、最先端の雪室により、一層の丁寧さを持ってお酒と向き合っています。
 雪室とは、雪国に降り積もった雪を有効利用した貯蔵庫です。温度変化の少ない雪の冷気内で貯蔵することにより、まろやかな味わいで口当たりの良いお酒に仕上がります」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合70%、アルコール分15度、製造年月2021.09(製造年月はビン詰時の年月です。青木酒造ではその後『鶴齢の雪室』で低温貯蔵管理を行い出荷しています)」。せっかくこだわって造ったのに、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 しかし、製造年月が瓶詰め時を意味することを明記しているのは素晴らしいことだとおもう。単に「製造年月」と書く蔵がほとんどだが、一般の飲み手は、製造年月が仕込んだときなのか、瓶詰めのときなのか、出荷のときなのか、分からないからだ。

 酒名「鶴齢」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「鈴木牧之は明和7年(1770年)塩沢に生まれた商人・随筆家で、現蔵元の先祖に当たる人物。『鶴齢』という名も牧之が命名したと伝えられています」

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