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【ぼくは芸人で塾講師で、二刀流】(3) テストどうだった?は禁句 押田貴史

2022.5.26 13:17 共同通信

 

 中学受験とお笑い、無縁なように見える二つの世界の出来事を、二刀流芸人がつづる。(5回続きの3)

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 中学受験をする小学生の親になったつもりで、読んでみてください。

 子どもが塾でテストを受け、あなたは建物の外で待っています。テストが終わって子どもが駆け寄ってきました。あなたはまず「お疲れさま」と声を掛けます。さて、次に掛けるのはどんな言葉ですか?

 「テストどうだった?」と声を掛けた方、残念ながら無自覚にプレッシャーを与えています。そのつもりがなくても、子どもは親の期待を感じ取り「良い点数を取らなきゃ」と思うものです。良い結果が出ているうちはいいのですが、いつかどこかでつまずきます。焦ります。焦るせいか、うまくいかなくなります。

 次のテストの日。「頑張ってね」と言われて塾に向かいますが、解けません。空欄が目立つ解答用紙を前に絶望します。ふと、隣の生徒から鉛筆を走らせる音が聞こえてきます。カリカリカリ…。魔が差して隣へと視線を向けた次の瞬間、「君、ちょっとこっちへ来なさい」と先生の声…。

 作り話みたいなものですが、決して極端な例ではありません。塾講師をしていると、期待の重さに耐えきれず、不正行為をしてしまう生徒に毎年出会います。大人だって、仕事から帰宅して「今日の仕事の出来はどうだった?」と聞かれるのは嫌ですよね。そんな日が続いたらしんどくなりませんか。

 テストが終わった後には「お疲れさま。今日の晩ご飯はカレーライスだよ」と声を掛けてあげましょう。こちらが何も言わなくても、テストに手応えを感じていたら、ちゃんと子どもの方から伝えてくるものです。

 ちなみに塾の社長は、僕の芸人としての活動も応援してくれています。「早く売れてくださいね」と温かい言葉を頂き続け、はや11年目。最近は「お笑いの方はどうですか?」と聞かれるようになりました。調子が良ければ自分から言うので「今日は焼き肉でも食べに行きましょう」と声を掛けてほしいものです。(第4回へ)(第2回に戻る

 

コントを披露する「シティホテル3号室」。右が筆者の押田貴史
コントを披露する「シティホテル3号室」。右が筆者の押田貴史

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 おしだ・たかし 1985年横浜市生まれ。コントを主とするお笑いコンビ「シティホテル3号室」のメンバーとして活動しつつ、中学受験専門塾「ジーニアス」で国語講師を10年以上務めている。