【4771】七力 純米大吟醸 雫取り プラチナ(しちりき)【青森県】

2022年04月23日
酒蛙酒蛙
青森県上北郡七戸町 盛田庄兵衛
青森県上北郡七戸町 盛田庄兵衛

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、店主が酒を抱えてきた。今回の酒は「七力 純米大吟醸 雫取り プラチナ」だった。このお酒は、青森市内の酒屋さん7店が、力を合わせて日本酒を売っていこう、と「ななの会」を結成。その「ななの会」が独自ブランドを企画し、青森県上北郡七戸町の酒蔵「盛田庄兵衛」に造ってもらったもの。

 会の代表「かめや酒店」のホームページは「ななの会」について、以下のように紹介している。

「青森市内7軒の酒販店で組織する『ななの会』。『七力』という酒の命名もすべて販売側が考えた新しい取組。2000年に入ってから酒屋を取り巻く環境は日に日に厳しくなり、何か手印になるものが欲しい!と模索していた頃、開発され世に出たばかりの青系140号というそれはそれは美味しいお米の酒に出逢う。今まで青森にはなかったこの感動的で美味しい酒を売りたい!そして、自分たちが飲んでみたい酒を造ってもらおう!この熱い想いに賛同してくださったのが、駒泉の銘柄で知られる七戸町の盛田庄兵衛だった。お互いの想いはいずれ合致し、のちに青系140号は『華想い』となり、2005年華想い100%使用『純米吟醸 七力』が誕生した。発売当初、年間通して販売する予定でいたものが3ヶ月で完売となり販売側を驚かせた。今では種類も豊富になり、四季折々の『七力』をお楽しみいただけます」

 紹介文に出てくる「華想い」は、青森県農林総合研究センターが、「山田錦」に匹敵する酒米をつくろう、と1987年、母「山田錦」と父「華吹雪」を交配。選抜と育成を繰り返して品種を固定。2006年に品種登録された酒造好適米。

 さて、いただいてみる。甘やかで、吟醸香が華やかに広がる上立ち香。含み香はアンズのニュアンスを感じるフルーティーな香りだが、大人しめで、落ち着いたたたずまい。口当たりはやわらかで丸みがあり、多少とろみを感じる。上級感があるたたずまい。

 味わいは、甘旨みが味の主体で、中盤から余韻は辛みが立つ。余韻にはすこし苦みも混じる。最初のうちは酸があまり感じられないが、飲み進めていくと酸がほのかに出てくる。キレが非常に良い。最初のころはモダンタイプのような酒質だが、飲み進めていくとクラシックタイプ寄りになっていく面白いお酒。一粒で二度おいしい「グリコ」みたいなお酒だとおもった。

「ななの会」代表「かめや酒店」のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「七力誕生15周年記念に搾られて貴重なお酒。また各店数本の限定酒。注いだ瞬間に鮮やかな香りがいっぱいにひろがり米の重厚な旨味とキレのある後味」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「吟烏帽子100%、原材料名 米(青森県産)米麹(青森県産米)、精米歩合40%、アルコール分17度以上18度未満、製造年月2021.11」。

 使用米の「吟烏帽子」開発のいきさつは以下の通りだ。

 青森県の南部地方(太平洋側)はヤマセによる冷涼な気候のため、同じ青森県の津軽地方(日本海側)で生産される「華吹雪」「華想い」といった青森県が開発した酒米がうまく育たない。このため、南部地方の酒蔵から「南部地方でも安定した品質を確保でき、南部地方の酒造会社が地元産米を使った高級酒製造が可能となる新品種がほしい」という要望が出された。

 そこで、地方独立行政法人青森県産業技術センター農林総合研究所水稲育種開発部が、母「山形酒86号(出羽の里)」と父「黒2065(青系155号)」を交配。選抜と育成を繰り返して品種を固定。2018年1月、作付地域や用途を限定して作付けを推奨する「第1種認定品種」に指定された。