(709)ふんは水中でも水はきれい アメリカビーバー

水面を泳いでいる。すーっとこっちによって来た。水中でとんぼ返りをして向こうへ行く。水の中に何か落とした。いや、ふんをしたらしい。
親子連れのお父さんが「あっ、うんちした」とさわいでいる。男の子が近づいて、おもしろそうにまじまじと見ている。新潟市の水族館、マリンピア日本海の「水辺の小動物」のゾーンにアメリカビーバーがいた。
「アメリカビーバーは水中でしか、ふんをしません」と担当の平山結(ゆい)さん。ガラスばりなので、そのようすまで見られる。水がにごっていない。水中でふんをするのに。
「水槽のそうじをひんぱんにします。それに水族館は生きものの水の中の生態を見せる所なので、水をろ過してきれいにする装置もしっかりしているんです」
北アメリカ大陸の湖や沼、川のそばなどにいる。ネズミなどの仲間、げっ歯目という分類の中ではカピバラの次に大きい。
別の1頭が、おくの地上にあがって、前足で木の枝を持って、かじっていた。歯が大きいから、なんとなく肉食のような気がしていたけれど、ちがうんだ。「食べているのは、ヤナギなんですよ」
新潟市は阿賀野川と信濃川という大きな二つの川が流れ「水の都」ともよばれる。川岸にはヤナギがうえられている。「それをとってきて、あたえているんです」(文・写真、佐々木央)=2022年1月配信
