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特別編・受賞団体の活動報告② 「山形国際ドキュメンタリー映画祭」(山形市、第3回準大賞)

2017.7.21 13:47
さまざまな国から集まる作品は1800本を超え、多彩な作り手が登場する
さまざまな国から集まる作品は1800本を超え、多彩な作り手が登場する

 

▽高橋卓也・山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局長

 2017年10月の開催で15回を迎えるのを機に、何を狙って仕事をしているのかを整理した。一つは映画祭を通じ国際理解を深め、世界の平和に貢献することだ。大げさだが、ドキュメンタリー映画という、さまざまな出来事を描いた映像を見ていると、互いの立場を分かり合う場を提供することが仕事だと思う。
 
 ▽アジアの枠も設置

 もう一つは、地元山形に何ができるかを考えている。いろんな作品を見て自分たちの生き方を磨き、山形を発展させていきたいと考えている。
 1989年、山形市の100周年記念として1回目が開催された。回を重ね、さまざまな評価をいただいた。ここから育った監督もいて、山形で作品を発表しようと若手が来てくれるようになった。応募作品は最初、223本だったが、今では1800本を超える。
 2つの柱がある。一つはインターナショナル・コンペティションで、世界から募り15本を選ぶ。もう一つはアジア千波万波。1回目にアジアから、ほとんど作品が来なかったことを踏まえ、アジア枠を設けた。今では約800本が集まる。
 300~400人のボランティアが全国から集まってくる。各会場で映写のサポートやゲストの案内などをしており、市民の力がなければ成り立たない映画祭だ。
 国内外から監督やプロデューサーらを招き、上映後に質疑応答の時間を設けている。観客との対話は20~30分で終わらず、ロビーに移り延々と続くこともある。期間中は毎晩、交流会も行っている。誰でも参加でき、監督同士が出会い交流が始まることもある。

映画の製作者や市民、ボランティアらの交流が山形で広がっている
映画の製作者や市民、ボランティアらの交流が山形で広がっている

 

 ▽ライブラリーは1万3000本

 作品は、山形でライブラリーに蓄積している。誰でも見られるシステムで、1万3千本を超えた。これだけのドキュメンタリーが蓄積されているのは山形だけだろうし、どう生かすかが課題だ。
 東日本大震災は、意識の別のボタンを押す出来事となり、東北の映画祭としての意識を持った。避難所での上映会や、子どもたちに映画の作り方を教えるプログラムを行ってきた。2011年の映画祭で大震災を取り上げた作品を上映して以降、毎回上映を続けている。こうした映画のライブラリーも始めた。英語版を作るようにお願いして、海外での上映にも取り組んでいる。
 実は山形市は短編映画を作った歴史がある。市職員が映画製作を勉強し、合併した地域を紹介するニュース映画などを撮影していた。人口に比べると映画館も多い。こうした素地もあって、山形市は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「創造都市ネットワーク」への加盟を目指している。
 ドキュメンタリー映画を選んだから、続いたのだと思う。アジアの作品が見られると欧米で評価も得た。ビデオの普及で若手作家の面白い作品が増えてきた。ドキュメンタリー映画のおもしろさをいろんな年代の方と共有できると思っている。          (共同通信社 伊藤祐三)

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