1日1杯でも脳が萎縮 飲酒量が増えると加速

少量の飲酒なら健康にプラスに働くとの考え方もあるが、これに見直しを迫る内容と言えそうだ。酒量が増えると萎縮の程度が加速的に大きくなる傾向も確かめた。
脳の萎縮は認知機能の低下につながりかねない。チームの研究者は「いったん飲んでしまったら、寝る前の『もう1杯』をがまんすることが脳への影響を抑えるのに役立つ」としている。
チームは、英国に住む40歳以上の男女約50万人の遺伝情報や生活習慣、磁気共鳴画像装置(MRI)による脳画像データなどを集めた「UKバイオバンク」を利用。うち約3万7千人について、過去1年ほどの飲酒習慣と、脳萎縮の度合いとの関係を分析した。
すると飲酒量が増えるに従って、脳の神経細胞が集積する「灰白質」や、神経線維が集まる「白質」の体積が減少する傾向を確認。1日にワイン1杯程度、またはビール小瓶1本程度の「適量」の飲酒でも、わずかながら萎縮が起きることを確かめた。
飲酒しなくても脳は年齢とともに萎縮するが、50歳の人では1日の酒量がワイン半杯から1杯に増えると、2年分の加齢に匹敵する追加的な影響があるとチームは分析。さらに1日1・5杯に増えると影響は3・5年分と度合いがより大きくなると指摘している。