眠るだけでダイエット? 米シカゴ大が臨床研究  睡眠指導で体重減少

2022年04月19日
共同通信共同通信
 自粛生活で「コロナ太り」に悩む人は、睡眠不足を解消することで体重を減らせるかもしれない―。米シカゴ大のチームが、肥満気味で寝不足の米国人の睡眠時間を1時間ほど延ばすことで、体重を2週間で0・5キロ近く減らすことができたとする研究結果を、米医師会雑誌JAMAの関連誌に発表した。食事などに伴うエネルギー摂取量が低下したのが要因。長期的なダイエット効果が維持できるかどうかや、日本人への応用が可能かなど研究課題も残るが、今後の展開に期待できそうだ。
ベッドで眠る女性(DPA提供・AP=共同)
ベッドで眠る女性(DPA提供・AP=共同)

 

 ▽実生活で追跡
 睡眠と代謝の関係は以前から注目され、不眠だと肥満になりやすいとの報告がある。寝不足は食欲促進ホルモンのグレリンを増やし、抑制するレプチンを減らすとされる。深夜まで起きているとつい食べ過ぎるのはこの理由からかもしれない。
 「睡眠を延ばすことでこれを逆転できないだろうか」。こう考えたのがシカゴ大睡眠研究センター長のエスラ・タサリ准教授。実生活の環境で睡眠と代謝の変化を追跡する臨床研究を2014~20年に実施した。
 参加したのは1日の睡眠が6時間半に満たない21~40歳の男女80人。いずれも体重を身長の2乗で割った体格指数(BMI)が25~29・9の人たちだ。日本では肥満に当たるが米国では前段階の過体重に分類される。
 基礎代謝を測定し、40人ずつ2グループに分けて片方だけ睡眠指導を実施。医師が個人ごとにぐっすり眠るこつを伝授する。生活リズムを整える。寝室の温度や照明を調整する。適度に体を動かす。テレビやスマートフォンの適切な使用のアドバイスなどが例だ。
 もう片方のグループは面談だけで睡眠指導はしない。いずれも減量目的での食事制限や運動指導はせず、普段の生活を2週間続けてもらった。
 
 

 ▽ご飯1杯分

 すると指導を受けたグループはほとんどの人で睡眠時間が延長。指導を受けなかった人より平均1・2時間長く眠れるようになっていた。
 代謝の変化を厳密に調べると、1日のエネルギー摂取量が平均で155・5キロカロリー減少。体重は0・48キロ減っていた。
 一方、指導を受けないグループは全体として睡眠不足のまま。エネルギー摂取量は114・9キロカロリー増加し、体重は0・39キロ増えた。日本食ならご飯1杯を毎日食べるか食べないかの差がグループ間で出た。
 「多くの人が何とか食べないように努力しているが、よく眠るだけで体重を減らせるかもしれない」とタサリさん。長く維持できれば10キロ以上の減量も夢ではない。
 よく眠るのは体重だけでなく心身の健康にプラスになる。タサリさんは「寝る時に電子機器を使わないのが一番のこつ」と助言。米国人以外での有効性については「さらに研究で確かめる必要がある」と指摘する。
 ▽代謝パターン
 「つらい食事制限や運動指導は続けるのが難しい。睡眠によるダイエットは多くの人が取り組みやすい手法かもしれない」。睡眠と代謝の関係に詳しい筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の徳山薫平教授はこう話す。
 徳山さんは個人で異なる睡眠中の代謝パターンから生活習慣病のリスクを知るための研究を進めている。炭水化物と脂肪のどちらを燃やしやすいかといった体質の違いが、眠っている間に見えやすくなることが最近分かってきた。
 「呼気や血液、尿などに含まれる物質を調べることで、糖尿病や肥満になりやすい代謝パターンを明らかにできる可能性がある」と徳山さん。「謎に包まれた睡眠と代謝の関係が少しずつ明らかになりつつある」と語る。(共同=吉村敬介)