波乱少なかった1回戦 NFLプレーオフ

NFLは14チームによるプレーオフが始まり、現地時間1月15~17日(日本時間16~18日)にかけて1回戦にあたる「スーパーワイルドカード」の計6試合が行われた。
アメリカン・カンファレンス(AFC)はベンガルズ(北地区優勝)、ビルズ(東地区優勝)、チーフス(西地区優勝)が、ナショナル・カンファレンス(NFC)はバッカニアーズ(南地区優勝)、49ers(西地区3位)、ラムズ(西地区優勝)が勝ち進んで準決勝の「ディビジョナルプレーオフ」に進んだ。
1回戦がバイウイークだった両カンファレンスの第1シードのタイタンズ(AFC南地区優勝)とパッカーズ(NFC北地区優勝)はディビジョナルプレーオフから登場する。
今年のプレーオフ1回戦はカウボーイズ(NFC東地区優勝)を除き、ホームでの開催権を持つ地区優勝チームが勝利する順当な結果となった。
上位シードチームが勝つという点で「順当」という言葉は適切なのだが、実はこのラウンドで波乱が少ないのはむしろまれだ。

今季を含む最近10シーズンを振り返ると、1回戦でワイルドカードでの出場チームが地区優勝チームを破るアップセットが起きたシーズンは8回あり、そのうち6年は半数以上の試合で地区優勝チームが敗退している(2019年シーズンまでは4試合)。
NFLのプレーオフにおいてはワイルドカードチームの躍進は珍しくない。
ただし、スーパーボウル優勝となるとワイルドカードチームは分が悪く、過去55回の歴史でワイルドカードからの勝ち上がりチームが優勝した例は7チームしかない。
やはりディビジョナルラウンドやカンファレンス決勝とラウンドが進むにつれ、ホームフィールドアドバンテージ(地元開催権)を持つチームが有利になる。
今年は4人のQBがプレーオフデビューを果たした(ベンガルズのジョー・バーロウ、ペイトリオッツの新人マック・ジョーンズ、イーグルスのジェイレン・ハーツ、カージナルスのカイラー・マレー)が、勝ち進んだのはバーロウだけだ。
経験値が大きくものを言うポストシーズンでは、初出場のQBが勝利するのは難しい。
ルーキーならばなおさらで、ちなみに過去のスーパーボウルで新人QBを先発として起用したチームが優勝した例はない。
もっとも、ベテランQBだからといってプレーオフでの勝利経験が豊富というわけではない。
ラムズのQBマシュー・スタッフォードは、NFLキャリア13年目にしてプレーオフ初勝利を挙げた。

昨年までライオンズに在籍していたスタッフォードはリーグを代表する屈指の肩の強さの持ち主でありながらプレーオフでの勝利に恵まれず、過去の戦績は0勝3敗で、新天地でようやく嬉しい1勝を手にした。
今季のプレーオフ初戦は「久しぶり」がキーワードの一つだった。例えば、ベンガルズがプレーオフで勝利したのは31年ぶり。最後に勝ったのは1990年シーズンのワイルドカードラウンドだった。
その後も2015年まで7度プレーオフに出場したが、いずれも初戦で敗退していた。今年は6年ぶりのポストシーズンで、長いスランプに終止符を打った。
49ersとカウボーイズがプレーオフで対戦するのも久しぶりで、94年シーズン以来のことだった。
この2チームのプレーオフでの対戦は今回で8回目だが、そのうち6回はNFC決勝での顔合わせである。
今でも語り草となっているのは92~94年の3年連続でのNFC決勝での対戦だ。
最初の2年はカウボーイズ、最後は49ersが勝ち、いずれもスーパーボウルで優勝した。

当時はスーパーボウルでNFC勢が圧倒的な勝率を誇っていた時代で、NFC決勝が事実上のNFL決勝戦とまで言われた。ちなみにプレーオフでの2チームの対戦戦績はカウボーイズの5勝3敗だ。
今季限りでの引退が濃厚なQBベン・ロスリスバーガー(スティーラーズ)はチーフスに敗退。第4クオーターにWRジェームズ・ワシントンに決めた15ヤードのTDパスが最後の見せ場となった。