×
メニュー 閉じる メニュー

女性差別といじめの構図 核心評論「眞子さん結婚」

共同通信編集委員 五井憲子

 秋篠宮家の長女眞子さんが意志を貫き、大学時代の同級生小室圭さんとの結婚を果たした。週刊誌やテレビ、会員制交流サイト(SNS)などで繰り広げられた、2人や家族への長期にわたるバッシングはこれで収まると思いたい。


 男性目線の週刊誌報道や、ネットニュースのコメント欄にあふれた投稿を見ると、日本社会を覆う女性蔑視の考え方がいかに根強いかを思い知らされた。皇族の人権や、皇室と国民との距離の在り方などさまざまな論点はさておき、ジェンダー平等の観点から、今回の問題を振り返りたい。


 まず、小室さん親子が母子家庭であったゆえ、たたきやすく、差別の対象になったのではないかと考えられる。金銭問題があったにせよ、報じる側や社会の潜在意識に「夫と死別、再婚を試み、結局は婚約解消した女性」への偏見がなかったと言い切れるだろうか。


 コロナ禍で女性のひとり親家庭の苦境が社会問題化しているように、母子家庭の生活は厳しい。もし小室さんに両親がいたら、あるいは父子家庭だったら、これほど非難されなかっただろう。弱い者いじめと言われても仕方がないのではないか。
 金銭問題には双方の言い分があるだろう。だが、母親への集中砲火に比べ、週刊誌記者を窓口にしているとされる元婚約者の男性については主張をうのみにする報道が目立った。そもそも、母親の金銭問題と、圭さんの結婚を関連付ける必要があるのだろうか。


 また、「男性が大黒柱」「男性が決定権を握る」との男性優位の論調も支配的だった。当初、弁護士資格のない圭さんに生計を立てる能力はなく、結婚は無理との報道が目立った。眞子さんに民間人としての勤務経験がないせいかもしれないが、「妻が稼ぐ」との視点はどうして生まれないのか。


 10月26日の会見で眞子さんは、金銭トラブルへの対応や、小室さんの留学前倒しなどは自分が決めたと明かし、圭さんが独断でやったとの一連の報道を否定した。眞子さんの発言は夫をかばう目的だったかもしれないが、報じる側に「決めるのは男」との誤った先入観があったのは確かだ。


 秋篠宮妃紀子さまが結婚した際は「3LDKのプリンセス」と呼び、「玉の輿(こし)」を好意的に報じた。だが、小室さんのように裕福とは言えない男性が、地位が上の女性と結婚することに、男性目線のメディアは辛辣(しんらつ)だ。
 女性の間には眞子さんの結婚に肯定的な声が目立った。皇室の女性には、女性というだけで、さまざまな制約がある。男女平等が実現していない日本社会を象徴するような女性皇族の立場の弱さに同情した女性は多かったに違いない。一時金を辞退し、皇室慣例の儀式も行わなかった眞子さんの幸せを祈りたい。

(2021年11月3日配信)

最新記事