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かみ合わない歯車 開幕から2連敗、迷える日大フェニックス

2021.10.26 13:11 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
中大戦の後、学生に話しかける日大の平本恵也HC(手前)=10月23日、アミノバイタルフィールド
中大戦の後、学生に話しかける日大の平本恵也HC(手前)=10月23日、アミノバイタルフィールド

 

 一度かみ合わなくなった歯車は、なかなか元に戻らない。関東大学リーグ1部TOP8で2連敗となった日大を見ていて、そう思った。

 

 10月23日、東京・アミノバイタルフィールドで行われたTOP8Bブロックの第2節。

 中大と対戦した日大は、前半こそ互角に渡り合ったが、後半にファンブルなどのミスを重ねて自滅、13―38の大差で敗れた。

 

 今季を占う大一番だった第1節の法大戦は、勝つチャンスがありながら28―35で競り負けた。

 日大の平本恵也ヘッドコーチ(HC)は言った。

中大戦の後、観客席にあいさつする日大の選手たち=10月23日、アミノバイタルフィールド
中大戦の後、観客席にあいさつする日大の選手たち=10月23日、アミノバイタルフィールド

 「法政戦を終えて、学生一人一人が思うところはあっただろうが、一人も欠けることなくこの3週間取り組んできた。ただ(法大に負けた)影響がなかったと言えば嘘になる」

 

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今季同様TOP8に所属する8校が2組に分かれてリーグ戦を実施し「特別なシーズン」と位置づけられた昨季を含め、2018年から対戦がなかった日大にとって「ラクーンズ」は因縁の相手でもある。

 

 高橋宏明氏が監督に就任した16年は、21―27で屈し、このシーズンは4位に終わった。

 内田正人氏が監督に復帰した翌17年は、試合終了間際に勝ち越しのFGを決めて20―17で勝った。

 苦しい試合をものにした「フェニックス」はその後、1年生QB林大希選手の活躍もあって全日本大学選手権決勝の「甲子園ボウル」に出場。関西のライバル関学大を破って、27年ぶりの大学日本一になっている。

 

 橋詰功前監督(立命大OB)から、9月1日付でチームを引き継いだ平本HCは、始動の遅れを取り戻すべく、ほぼ毎日練習に顔を出し指導に当たっているという。

 しかし、指導者としての経験に乏しい34歳の新指揮官にとってやるべきことは多く、チームを掌握するまでには至っていない。

 

 

 「ミスは取り組みの甘さが出た結果。僕自身も、学生にアプローチしきれなかった。日々、自分に勝てるかが大切。フェニックスは自分に厳しく勝ち続ける集団でないといけない」

 負けたことが話題にならないようなチームにはしたくない。平本HCの苦しい胸の内が透けて見えた。

 

 菅原大斗主将は言う。

日大の菅原大斗主将=10月23日、アミノバイタルフィールド
日大の菅原大斗主将=10月23日、アミノバイタルフィールド

 「2連敗は受け入れられない。気持ちの整理がつかない。法政に負けて3週間突きつめてやってきたが、根本的に間違っているのか、それとも練習のしかたが悪いのか…。体制が変わったことで影響がないとは言いがたいが、我々は学生が作ってきたチーム。取り組みが甘かったということだと思う」

 大人の事情にはあえて触れず、責任を一身に背負う姿が痛々しかった。

 

 

 中大の須永恭通HCは日大OBだ。フェニックスのコーチ時代は、2007年の甲子園ボウルで、当時2年生だった平本HCを先発QBに起用し、関学大をあと一歩のところまで追い詰めた。

 その二人が指導者として対決する。これもまた因縁だろう。

 

 「母校に勝ったからといって、特別な感慨はない。ただ、今日の日大はベストの状態ではなかったと思う」と須永HCは試合を振り返った。

 中大の責任者としてチームを預かる立場である以上「目標は日本一なので、次の法政戦に勝たないと意味がない」と次を見据えるのは当然だ。

インタビューに答える中大の須永恭通HC=10月23日、アミノバイタルフィールド
インタビューに答える中大の須永恭通HC=10月23日、アミノバイタルフィールド

 

 この日は久しぶりに観客を入れての開催だった。

 「今日はたくさんの高校生も見に来てくれていた。彼らが憧れるチームにならないといけない。そういう意味では、申し訳ない試合だった」

 

 熱い「フェニックス愛」を感じさせる言葉でインタビューを締めくくり、平本HCは学生が待つハドルの輪に加わった。

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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