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13歳西矢「金」、16歳中山「銅」 五輪に新風、軽やかスケートボード

2021.7.26 22:28 共同通信
女子ストリートで優勝し、金メダルを手に笑顔を見せる西矢椛。手前は銅メダルの中山楓奈=有明アーバンスポーツパーク
女子ストリートで優勝し、金メダルを手に笑顔を見せる西矢椛。手前は銅メダルの中山楓奈=有明アーバンスポーツパーク
 五輪競技に初めて採用されたスケートボードに連日、驚かされた。競技初日の男子ストリートで堀米雄斗が金メダル。2日目の女子では中学2年生の13歳、西矢椛が金メダル、16歳の高校1年生、中山楓奈が銅メダルを獲得した。昔のスポーツ紙なら「新競技、衝撃の五輪デビュー」などと見出しが付きそうだが、「街角の遊び」から発祥した新スポーツはもっと軽やかだ。肩ひじ張らず、楽しそうにボードを操る若い選手たちが五輪に新風を吹き込んでいる。
 ▽若さと笑顔の表彰台
 女子決勝に進出した8人のうち10代選手は5人。若い選手による戦いは「メダルを目指した激闘」の雰囲気とはちょっと違って、ボーダー仲間の演技お披露目会の趣があった。
 力みが出ると、ボード操作が難しくなるのだろうか。だれ一人、歯を食いしばったりはしない。予選から目立っていたのが、西矢の笑顔だった。45秒間のランの演技中も笑みを絶やさない。演技を終えると、さらに笑みがはじけた。金メダルが決まった時だけ涙があふれた。「(演技中に)みんながオー!って言ってくれる。それがうれしくて」と笑顔の理由を明かした。
 表彰式に臨んだのはともに13歳の西矢と銀メダルのレアウ(ブラジル)、そして16歳の中山。五輪史上、これほど低年齢の表彰台があっただろうか。写真撮影用にマスクを外すことが許された30秒間、3人のあどけなさが際立った。
 ▽若者向けの都市型スポーツ
 スケートボードは米西海岸で1940年代に原型の遊びが始まったとされ、80年代以降に世界に広まった。90年代に入ると“スケボー用音楽”“スケボー・ファッション”とともにさらに普及。同時に競技スポーツ化が進んだ。
 そんな若者人気に目を付けた国際オリンピック委員会(IOC)は2016年に五輪競技採用を決定。ストリート種目の第1回世界選手権が開催されたのはその後の19年である。
 東京五輪組織委員会は、やはり新競技・種目となったスポーツクライミングやバスケットボール3人制などを「アーバン(都市型)スポーツ」としてひとくくりにし、臨海部にアーバンスポーツ専用会場を整備した。観客を入れて実施していれば、ヒップホップ音楽に乗って観衆もさぞかし大騒ぎしたであろう。ただ、テレビ越しにでも新競技のおもしろさ、斬新さは十分に伝わった。
 ▽「スケボー」が変わる
 「公園内、スケボー禁止」「道路上のスケボー禁止」の看板はそこかしこに掲げられている。高架下やガード下の空き地で、スケボー・ファッションに身を包んだ若者が、何度も行ったり来たり。路面を滑るボードの騒音に、顔をしかめて通り過ぎたことが何度もある。
 堀米や西矢の難度の高い技を見ると、「これは相当に練習しなければ、ここまでできまい」と納得できる。スケボー人気が高まるにつれ、市民に迷惑をかけないよう、各地に専用パークが整備されるようになった。日本スケートボード協会ホームページには、国内にある200カ所以上の専用パークが紹介されている。ジュニア選手はこうした地域の練習場で技を磨いたのだろう。
 堀米は快挙の後、「日本ではまだカルチャーとしてのスケボーが根付いていない。(これを契機に)楽しさをいろんな人に伝えることができれば」と述べた。テレビ解説では、プロ選手の瀬尻稜さんが「不良のイメージとか、迷惑なスポーツと思われていたところもあるが、これで(スケボーが)変わる」と五輪効果に期待を寄せていた。遊びから進化した競技の歴史と同様に、路上から本格競技に転身するボーダーが増えるかもしれない。(共同通信・荻田則夫)