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【4573】金鼓 火入原酒 山廃本醸造 15BY(きんこ)【奈良県】

2021.5.21 13:17
奈良県香芝市 大倉本家
奈良県香芝市 大倉本家

【B居酒屋にて 全8回の④】

 1カ月に1回のペースで足を運んでいるB居酒屋。常時約200種類の酒を置いており、1カ月たてば、冷蔵庫のラインナップがけっこう更新されているので、「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。今回は、人並み以上の嗅覚を発揮する酒友ちーたんに同席してもらった。

「川鶴」「七田」「ヤマサン正宗」と飲み進め、4番目にいただいたのは「金鼓 火入原酒 山廃本醸造 15BY」だった。大倉本家のお酒は当連載でこれまで、「金鼓」3種類、「大倉」5種類を取り上げている。酸が強く、非常にしっかりした味のお酒という好印象を持っている。今回のお酒はどうか。

 飲む前に、裏ラベルのスペックを見たちーたんが「アルコール分が19~20度だってよ!!!」と声を上げ、それを受けわたくしも「すげぇ!!! 20度といえば、日本酒のアルコール度のほぼマックスだ」。このやりとりを聞いていた店長が「このお酒は長期熟成酒で、熱燗にすればいいとのことです」とアドバイス。

 せっかちなわたくしは、「おおおっ、それなら熱燗をつけてもらおうじゃないか」と店長をせっつく。B居酒屋は常時、すぐ燗酒ができる体制にしており、カウンターのわたくしの定位置の目の前に、湯煎の燗つけ器があり、常に、ぽっぽっぽっと湯気を立てているのだ。

 が、冷静沈着な店長は、前のめりになっているわたくしをいさめるように「まあ、まあ。まずは冷酒で味わってから熱燗をいただけばよろしいのではないかと」と言う。「それも、もっともな話だ。基本のキだね」とわたくしは素直に同意。グラスに冷酒を注いでもらう。お酒は琥珀色。さて、冷酒でいただいてみる。

 酒蛙「一般的な古酒の味わいだ。紹興酒を思わせる香味だ」
 ちーたん「紹興酒系で、飲みやすい」
 酒蛙「甘み、旨味、酸味、辛み、苦み。味がみんな出ている感じ。味がぎっしり詰まっているようなイメージ。余韻は甘旨酸っぱい」
 ちーたん「でも、あっさりとした口当たり」
 酒蛙「キレが良い。これ、いいね。本醸造だからの結果なのだろうな。なんだかアルコール分が19~20度には感じないな。それだけ長期熟成でまろやかになっている、ということなんだろうな」

 熟成酒で知られる「神亀」の大古酒も本醸造。長期熟成酒に本醸造は適しているのだろうか。技術素人のわたくしは、ふとそんなことをおもう。

 次に、湯煎でいよいよ熱燗をいただいてみる。

 酒蛙「香りは冷酒のときと同じ。すっきりした辛口酒になっているのが大きな違いだ」
 ちーたん「すっきり感が、より出た。熱燗、面白いね」
 酒蛙「紹興酒感がすこし少なくなったかな」
 ちーたん「食が進むよ、この熱燗」
 酒蛙「すこし、アンズの香りを感じる」
 ちーたん「アンズ感は、冷酒の方がより感じるよ」
 酒蛙「酸も感じ、味がしっかりしている」
 ちーたん「古くまでいかない前の畳のにおいがする」(なんという例えだ!)

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「15年に及ぶ熟成の時を経て、琥珀色に輝くお酒は、なめらかな口当たりから力強い芳醇な旨味が広がる、奥行きの深い味わいです」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。
「平成15年醸造。その後 土蔵にてタンク熟成させています。艶っぽい黄金色。嫌味のないトロリとした口当たり。甘く香ばしい熟成香と凝縮感のある深い味わいが絶妙です。常温も良いですが、熱めの燗にすると、さらに表情が豊かになり、美味しいです」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、原料米 香川県産オオセト100%、精米歩合70%、アルコール分 19.0度以上20.0度未満、日本酒度+2前後、酸度/アミノ酸度 2.3前後/1.6前後、お勧めの飲み方 ○常温 ○ぬる燗 ◎熱燗、製造年月03-01」。また、酵母については、ホームページが「協会7号」と開示している。

 使用米の「オオセト」は農林水産省中国農業試験場が1966年、母「奈系212」と父「コチカゼ」を交配、育成と選抜を繰り返し品種を固定。1979年に命名された。

 酒名「金鼓」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「萬歳の 祝て打や きんつづみ ~才蔵(さいぞう)の鼓にあわせて太夫(だゆう)が舞う~ 萬歳は、年の初めにその年の繁栄を願ったおめでたいもの。萬歳好きの初代が このフレーズから『きんこ・金鼓』と名づけたと聞いております」

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