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思いの強さは才能を超える 大切なのは「心からうまくなりたいと思うこと」

2021.5.13 12:26 中村 多聞 なかむら・たもん
多聞コーチの自宅にあるトレーニングルーム
多聞コーチの自宅にあるトレーニングルーム

 

 自宅に「スモールガレージジム」を設置したことは、2年ほど前にこのコラムでも書きましたが、利用するのは他人様ばかりです。

 そんな設備がありながら、実は自分じゃ一切トレーニングをしていないんですよねー。選手時代にあまりにも頑張りすぎて、引退後15年経った今でも「燃え尽き症候群」というやつを引きずったままなのです。

 

 しんどいことやつらいことに耐えられない人間になってしまったのです。正確には元々の人間性に戻ってしまったのでしょうね。

 体重は現役選手時代の全盛期より約20キロも増え、健康のためにと度々ダイエットに取り組んではいるものの、前述の「しんどいこと、つらいこと」に該当するので、悔しいですが継続できません。

 

 そこで今回は、「思い」について最近感じたことを書いてみたいと思います。

 

 ランニングバック(RB)の育成をする時には、「心からうまくなりたい」と思っている選手のサポートがしたくて活動しています。

 ここはかなりキモになる部分で、最初にレベルや熱量に関係なく「今の自分を変えたい」と本気で思っているかどうかを大切にします。

 

 才能にあふれた人もそうでない人も関係なく「心底うまくなりたい」「今の自分を変えたい」と思うところが最初ですからね。

 そして、その次は目指す場所を具体的に定め、可能であれば時間的な制限も設ける。

 例えば半年後に40ヤード走のタイムを0・5秒速くするなどです。そうすると、目標地点から逆算していけば今日、明日、今週、今月、今シーズン、今年は何をして何がどうなっていなければならないかが明確に決まりますよね。

 進行していけば技術や体力が向上するペースが早まったり、逆に滞ったりもあるでしょうから、その時は途中で修正すればいいだけのことです。たまに間違えてゴールを下方修正する人もいますが。

 

 目標が高くて険しいほど、そして期限が近ければ近いほど鍛錬の内容は当然ハードになってきます。

 この大変さに負けてしまうか、乗り越えられるかは最初に自分が用意した「本気で思っているかどうか」に左右されます。

 生まれつき備わっている体格や才能はあまり関係ありません。「思い」が最も重要であり「思い」は最強です。

 

 冒頭で触れた今の僕は、トレーニングはおろか少しの減量ですら継続できません。理由はただ一つ。「本気の思いがないから」です。

 もう少し痩せてシュッとしたいな。健康になるかな。情熱の行き先としてはしょうもない目標なので、がむしゃらになれないのでしょう。

 どんなに大変で先が見えない時も、ズーっと努力邁進していた若い頃の自分と比べ、現在はヤル気ゼロのダメ人間です。

 

 競技者でもない今の僕がヤル気ゼロで全然ダメなのはまあ良しとして、フットボール(に限りませんが)選手として「心からうまくなりたい」や「今の自分を変えたい」と思っているといないとでは、指導の難しさが全然違ってきます。

 

 コーチ業をして初めて知ったのが、競技スポーツの選手なのに「心からうまくなりたい」「今の自分を変えたい」と思っていない人が、一定数存在するのだということです。

 この言い方は語弊がありますね。そこまでしんどい思いをする気はない、と言った方が正しいでしょう。

 確かに30代半ばで選手としての晩年を迎えた自分を思い返してみれば、全盛期以上に上達しようなどと考えてはいませんでした。

 それまでに培った能力を維持するためのトレーニングなどは、それなりにやっていましたが、若い頃の努力量に比べれば幾分割り引いていたと思います。

 

 そのような全力で上達を目指していないベテラン選手は例外としても、誰がどう見てもリーグのレベルより低い能力しか発揮できていない立場なのに、何を指導しても話をしても全く響かない人がいるのです。

 「頑張らない」と、固く自分に誓っているのかもしれません。教えていて「どうして何も変化がないのだろう?」と悩んだりもしましたが、おそらく僕のことは上を目指していないのに上に案内しようとする変な人に見えているのでしょうね。

 

 逆にやる気のある人は、とにかく質問が多いのです。練習中もミーティング中もとにかく質問してくるわけです。

 前出の頑張らない人はもちろん質問なんてしてきませんから、ものすごく差があります。

 自分の身近にいる、RBに関することならいろいろと知っている便利な存在だと僕を重宝がって質問攻めにしてくる人は、きっとうまくなるし変われるでしょう。

 

 どこまでのレベルに到達できるかは人それぞれですし、フットボールというチームスポーツは組織の総合力ですから、簡単に優勝トロフィーを手にするのは難しいですが、まずは自分自身がリーグのトップレベルの選手に成長するためにはどうするべきかをしっかり考えましょう。

 

 そして「熱くて強い思い」が心の底からあふれ出てきたら、便利な僕をしっかり活用してください。ネットでいろいろ検索するより早いし確実ですよ。

 新型コロナウイルスの影響で何かと不自由なご時世ですが、とにかく上を目指して皆さん頑張りましょう。お手伝いしますよ!

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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