メニュー 閉じる メニュー

スターQBロジャースに退団の噂 パッカーズGMとの確執が原因か

2021.5.7 14:24 生沢 浩 いけざわ・ひろし
退団が噂されているパッカーズのエースQBアーロン・ロジャース(AP=共同)
退団が噂されているパッカーズのエースQBアーロン・ロジャース(AP=共同)

 

 QBが1巡だけで5人も指名されたドラフトから1週間が過ぎ、今NFLで最もホットな話題はパッカーズのエースQBアーロン・ロジャースの去就だ。

 チームは2年連続でNFC決勝まで進出し、ロジャース自身はリーグMVPに選出されたばかり。本来なら今ごろは順調に2021年のチーム作りを行っているはずだった。

 ところが、実際にはパッカーズとロジャースの間に深刻な確執が生じており、ロジャースの退団が現実味を帯びているという噂がある。発端は、アメリカの有力スポーツメディアESPNの報道だった。

 

 ESPNは4月29日に行われたドラフト1巡直後に「ロジャースが退団の意思を固め、それをチームメートに告げた」とする記事を発表したのだ。

 事実かどうかは不明だが、これに対する後追いの報道合戦が過熱し、多くのアナリストがロジャースの去就についてさまざまな意見を述べる騒ぎになっている。

 

 パッカーズとロジャースの溝が深くなっているとする最も有力な根拠は、昨年のドラフトでパッカーズがユタ州立大のQBジョーダン・ラブを1巡指名したことだ。

 不動のエースの座を自負するロジャースにとって面白いはずがない。事実、このドラフトの直後にロジャースはラブの獲得について「あまりワクワクするものではない。最初から最後まで一つのチームでプレーしたいという望みが現実的ではなくなった」と漏らしたと伝えられた。

 これをきっかけに、ブライアン・グーテクンストGMとロジャースの関係が悪化したと言われている。

 ロジャースは2018年に、盟友であったWRジョーダン・ネルソンが放出された際にも決断者であるグーテクンストGMに不快感を示したようだ。

 では、ロジャース退団はどこまで現実味のある話なのか。

 

 ロジャースは2023年までパッカーズの契約下にある。しかし、契約期間中に解雇されても保証される年俸はなく、トレードを禁じる条項もない。

 パッカーズはその気になればロジャースを放出することは可能だ。

 

 ただし、その場合にパッカーズは大きな戦力ダウンを覚悟しなければならない。ラブは昨年はチームの第3QBの扱いで、レギュラーシーズン中の出場登録はなかった。

 昨夏は新型コロナウイルスの影響で、プレシーズンゲームも行われなかったから、ラブはNFL入りしてから実戦経験がないのだ。

 しかも、昨年の2番手だったティム・ボイルはすでにフリーエージェントとなってライオンズに移籍してしまった。

 地力のあるパッカーズとはいえ、実戦経験ゼロのQBをスターターにしてスーパーボウルを目指すのは現実的ではない。

 

 一方のロジャースは引く手あまたとまではいかないが、彼を獲得したいチームは複数あるだろう。

 彼の前任者であるブレット・ファーブがそうだったように、他チームに移籍してあと1、2年プレーしてから引退というシナリオは描きやすい。

 

 年俸増など待遇改善を求めて交渉を行うなら、有利なカードはロジャースの手にある。

 しかし、いずれはパッカーズの正QBの座がラブに移ることが既定路線であるならばこの交渉に意味はない。

 

 ロジャースが本当に退団を望むのなら、チームにトレードによる放出を申し入れることになるだろう。

 戦力ダウンを容認してそれを受け入れるのか、あくまでも契約をたてにロジャースを慰留するのか、決断を迫られるのはパッカーズの方だ。

 

 ロジャース自身も、まだファーブがパッカーズの正QBだった2005年にドラフト1巡指名を受けて入団した。

 ロジャースの場合はスターター昇格まで3年間の「下積み期間」があったが、最近のNFLは1巡指名の選手にそこまで育成の時間をかけない。

 

 NFLは現在トレードが終わったばかりで、各チームの人事に大きな動きはない。ただ、ロジャースほどの大物になれば、今後の数週間でドラスティックな展開があっても不思議ではない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

最新記事