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国外開催の拡大も視野 レギュラーシーズン1試合増のNFL

2021.4.7 11:22 生沢 浩 いけざわ・ひろし
昨年12月の試合で、エンドゾーンでボールを奪い合うカウボーイズと49ersの選手たち(AP=共同)
昨年12月の試合で、エンドゾーンでボールを奪い合うカウボーイズと49ersの選手たち(AP=共同)

 

 NFLは3月下旬に行われたオーナー会議で、今季からレギュラーシーズンゲームを1試合増やし、年間17試合制にすることを発表した。

 これに伴い、レギュラーシーズンの期間は従来の17週から18週間となり、スーパーボウルも1週間ずれて2月の第2日曜日の開催となる。

 次回のスーパーボウルは、北京冬季五輪が開催中の来年2月13日に、ロサンゼルスのソーファイスタジアムで行われる予定だ。

 

 AP通信の報道によれば、追加される1試合分は第17週に組まれることになっており、全16試合がインターカンファレンス(カンファレンス間)の組み合わせとなる。

 今季はAFCが主催(ホーム)チームとなり、AFC東とNFC東、AFC北とNFC西、AFC南とNFC南、AFC西とNFC北のそれぞれの所属チームの対決というマッチングで試合が組まれる。

 また、プレシーズンゲームは各チーム3試合の消化で、これまでより1試合少なくなる。

 

 レギュラーシーズンゲームの増加は、2006年にコミッショナーに就任したロジャー・グッデル氏の悲願とも言える施策だ。就任直後から改革を訴えてきたが、負担増となる選手側の反発が強く、なかなか実現しなかった。

 2011年には試合増も含めた改革案を推進するグッデル氏とオーナー側と、それに反発する選手会(NFLPA)との交渉が決裂し、労使協約(CBA)が一時的に失効する事態に陥った。

 チームが選手を締め出すロックアウトが行われ、シーズンの開催が危ぶまれた。

 

 最終的にはオーナー側が選手へのサラリー額を増やすなど妥協案を提示してCBAは更新され、シーズンが中止になる最悪の事態は回避された。

 これに懲りたのか、その後しばらくグッデル氏はレギュラーシーズンゲーム増加については封印していた。

 昨年、CBAの延長がすんなりと決まり、プレーオフ枠の増加も実現した。これに乗じたのかここにきてシーズン17試合制が再び持ち上がり、オーナー会議での決裁を迎えた。

 

 グッデル氏が試合増にこだわった一つの理由が、国外でのレギュラーシーズン開催を増やして、国外マーケットを拡大することだ。

悲願だったレギュラーシーズンゲームの増加を実現した、NFLのロジャー・グッデル・コミッショナー(AP=共同)
悲願だったレギュラーシーズンゲームの増加を実現した、NFLのロジャー・グッデル・コミッショナー(AP=共同)

 既にロンドンでは試合開催が成功しており、インターナショナルゲームはメキシコ市などにも拡張されている。

 レギュラーシーズンゲームが増えれば、インターナショナルゲームの開催地も追加することが可能だ。

 NFLは、早ければ今季にもロンドンとメキシコ市以外の場所でレギュラーシーズンゲームを行う計画を進めている。

 

 試合増についてはもちろん、選手の中には反対する声もあったようだ。1試合増えればそれだけ体力的なダメージも大きくなり、けがをするリスクも高まる。

 そこでグッデル氏とオーナー側はリーグの総収入のうち選手に分配される割合を増すことで応じた。選手側の反対意見はNFLPAとしてまとまった抗議をするほど大きくはなかった。

 とはいうものの、選手のけがのリスクが高まる危険が回避されたわけではない。

 今後は選手の引退後の年金制度、安全面でのさらなる配慮などをリーグに求めていくことになるだろう。

 

 試合増が将来のキックオフルールの再編に影響を及ぼす可能性もある。キックオフに関しては選手の安全確保の観点から、衝突時のダメージを軽減するようにルール改正が行われてきた。

 近年ではキックオフの廃止論も出されている。現に昨年はルール改正案として議題に上った。

 

 昨年のオーナー会議ではキックオフ廃止は見送られたが、試合増による負担と相殺する目的で、近い将来に再び議論されることになるかもしれない。

 NFLで試合数が増加されるのは、14試合制から16試合制に移行した1978年以来のことだ。わずか1試合の増加だが、それが及ぼす影響は決して小さくない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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