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コンクウイスキーとベタ凪の海

2016.12.14 22:24
観測隊の伝統、コンクウイスキー。
観測隊の伝統、コンクウイスキー。

 

 南極へ向かう途中で、観測隊にウイスキーが配られるらしい―。
 以前、こんな話を耳にしたことがあった。
 お酒は〝たしなむ程度〟の僕だが、この素敵な噂が本当であることを密かに願っていた。
 そして今日、「観測隊公室」という食事やミーティングなどに使う部屋に貼り出されたスケジュールに「コンクウイスキー配布」の文字が!ヒャッホウ!
 
  「コンク」とは濃縮を意味する英語の「Concentration」の頭4文字をとったもので、その名の通りアルコール度数約55パーセントの濃いウイスキーだ。極寒の地で活動する観測隊員らの体を温めるために配布されるようになったという。まさしく「命の水」。当然ながら、「ヒャッホウ!」と叫んで尻尾を振りながらもらいに行くようなものではないのである。
 昼過ぎ、公室でコンクウイスキーの入った大きな缶のふたが開けられると、部屋中に心地よく甘い香りが漂い始めた。隊員たちは、フリマントルで観測隊の庶務の方々が調達してくれたサンタクロースの形をした瓶を手に、配給してくれる「しらせ」乗員の前に整列。きっちり目盛りで測られた500mlの濃縮ウイスキーが、サンタクロースの体を琥珀色に満たしていくのを見守っていた。
 
 
 午後3時頃、「しらせ」は流氷域に入る準備をするため、穏やかな海で一時停船した。波ひとつなくて海面が鏡のように見えるこんな状態を「べた凪」と呼んだりするらしい。
 ここ数日はどんよりした天気が続いていたためあまり顔を出さなかった太陽も、「久しぶりやし、めっちゃ照らしたるわ!」と言わんばかりの強烈な日射しを振りまきながら登場。
 望遠レンズ越しに水平線を見ると、一面に氷が張った海が見えた。
 あと数時間すると「しらせ」はその中を進んで行くことになる。
 そうしたら、見渡す限り青い海が広がる世界とも、しばらくお別れだ。

流氷域に入る前の「ベタ凪」の海。
流氷域に入る前の「ベタ凪」の海。

 

越冬隊員、水野さんの誕生日でした。おめでとうございます!
越冬隊員、水野さんの誕生日でした。おめでとうございます!

 

今日のしらせ飯。
今日のしらせ飯。

 

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