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【4459】赤武 AKABU 純米吟醸 生酒 NEWBORN(あかぶ)【岩手県】

2021.1.21 18:31
岩手県盛岡市 赤武酒造
岩手県盛岡市 赤武酒造

【I料理店にて 全4回の④完】

 コロナ禍で、飲食業は大苦戦している。そういえば、なじみのI料理店はどうしているだろうか。気になって暖簾をくぐった。おもった以上に客が入っていた。「いいじゃないか」と励ましたつもりだったが、「今日だけですよ」と店主は冴えない表情。すこしでも早くコロナ禍が去り、客が戻ってほしいものだ。

 この日、「酔鯨 純米吟醸 吟麗」「加賀鳶 純米吟醸」「くどき上手 辛口純吟 生詰」と飲み進め、最後4番目にいただいたのは「赤武 AKABU 純米吟醸 生酒 NEWBOR」だった。赤武酒造のお酒は当連載でこれまで、4種類を取り上げている。この蔵の主銘柄は「浜娘」。

 赤武酒造は岩手県上閉伊郡大槌町で酒造業を営んでいたが東日本大震災で被災、それを乗り越え盛岡市で復活を遂げた蔵である。赤武酒造の再起については、2012年1月3日付東京新聞に詳しく書かれている。その要旨は以下の通り。

「震災を受けてすべて流された赤武酒造の古舘社長は廃業を決意し、ハローワークにも通ったが、取引先やなじみ客から励ましを受け、再び立ち上がる意欲がわいたのが震災から2カ月以上たってからだった。
 家族で避難していた盛岡市に酒蔵を貸してくれる酒造会社を探し、同市の桜顔酒造が申し出を受け入れてくれた。酵母は岩手県工業技術センターに残っていた『浜娘』のものを使用した。
 出荷目標は被災前の大槌町の人口と同じ15,994本。古舘社長は『水が違うので、まったく同じ酒は造れない。でも、浜娘としてイメージしていた味に近づけることはできた。最高に、という意味の“ガッツラうまい酒”になったと思う』と話している」

 この出荷目標15,994本は2012年7月23日に達成した。同日付の蔵のブログに、古舘社長は以下の書き込みをしている。

「大槌町は震災前、15,994名、町に住んでいました。震災で約1,600名が犠牲になりました。空たかく旅立った親戚、友人、仲間にも、現在、頑張っている方にも飲んで頂きたい。この思いより『浜娘 純米酒 1800ml』を15,994本お届けしようと決め活動してきました。
 私の力不足で7月になりましたが、本日23日に15,994本目を出荷する事が叶いました。願いは叶う。そう信じて夢中で進んできました。お買い上げ頂いた皆様へ感謝を込めてご報告いたします。ありがとうございました」

 そして2013年、盛岡市に「盛岡復活蔵」を建設。翌2014年には新銘柄「赤武」を立ち上げ2018年3月1日、本社を大槌町から盛岡市に移転した。「赤武」は大きく成長、今では全国に広く知られる銘柄となっている。

 当連載でこれまで、「赤武」を3種類取り上げている。今回のお酒は「赤武 AKABU 純米吟醸 NEWBORN」(当連載【3372】)の生酒バージョン。いただいてみる。

 第一印象は「濃醇で甘旨酸っぱい」だった。そして、キレが非常に良い。最初は濃醇だとおもったが、飲み進め口が慣れていくうちにそれほど濃醇ではない、とおもうようになる。きれいで上品な酒質におもえた。舌先にチリチリとガス感。メロン的果実感たっぷり、ミネラル感たっぷり、のみずみずしくジューシーなお酒。いわゆるモダンタイプの典型的な味わいのお酒だとおもった。とくに酸がチャーミング。甘・旨・酸および余韻の辛みのバランスが非常に良く、飲みながら「おおおおっ、これは旨い」と口に出してしまった。それほどの美味しさだった。グラスの酒があっという間に無くなった。すなわち、極めて飲みやすいお酒である。

 瓶の裏ラベルは、この蔵のコンセプトと酒質を以下のように紹介している。

「若き杜氏『古館龍之介』を中心に志ある社員が魂を込めて醸した日本酒です。目指すものは、妥協せず仕込みひとつひとつを大切に日々進化する酒造りです」
「生まれたてのお酒をそのまま瓶詰めております。上品な香りの中にどこかホッとする味わい。このお酒で皆様が癒されることを願っております」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合50%、アルコール分16度、製造年月2020.11」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

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