東洋の魔女に栄冠 1964年10月23日 「再現日録 東京五輪の10月」(23)


東京五輪閉会式前夜の23日、バレーボール女子で日本がソ連を3―0で破り、金メダルを獲得した。テレビ視聴率は66・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と国民の圧倒的な関心を示した。
大松博文(だいまつ・ひろぶみ)監督率いる「東洋の魔女」はお家芸の回転レシーブでソ連の強打を拾って逆襲につなげてリード。第3セットは14―13に迫られたが、最後はソ連にミスが出て初の栄冠を射止めた。
柔道は最終日の無差別級。決勝で世界王者ヘーシンク選手(オランダ)に神永昭夫(かみなが・あきお)選手が挑んだが、9分22秒、けさ固めで敗れた。日本は全4クラスの金メダル独占はならなかった。ヘーシンク選手は勝利直後、喜んで畳に駆け上がろうとした自国青年を手で制するなど、柔道の礼儀を重んじる姿勢を発揮した。
ボクシングのバンタム級は桜井孝雄(さくらい・たかお)選手が韓国選手を下して、日本選手として史上初優勝した。このほか体操の男子種目別でも複数優勝し、日本の金メダルは史上最多の16に達した。
ハンガリー選手が米国へ亡命する一方、選手村ではブルガリア選手同士が神式で結婚式を挙げた。五輪では初という。
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バレーの視聴率は現在でも歴代2位(スポーツで1位)。ソ連戦は「決勝」と誤認されることが多いが、6カ国総当たりの最終戦で、金メダルをかけた「決戦」だった。(国名や組織・団体名、競技名、肩書などは当時の呼称に従っています。 共同通信=小沢剛)
(※1枚目の写真は、白黒写真を人工知能(AI)でカラー化しました。実際の色合いと同じとは限りません)
