中国が初の核実験 1964年10月16日 「再現日録 東京五輪の10月」(16)


中国政府は16日、同国西部で核実験を行い、成功したと発表した。中国の核実験は初めてで、実験の成功により建国から15年で米国、ソ連、英国、フランスに次ぎ5番目の核保有国となった。
中国は1957年、ソ連との間で原爆生産の技術資料の提供を内容とする国防新技術協定を締結。ソ連が59年に同協定を破棄し、さらに技術者を引き揚げたため、自力開発を進めていた。
日本政府は17日未明、核拡散防止の機運が高まる中での実験は「全人類の悲願を無視するもので、極めて遺憾」との官房長官談話を発表した。
新聞は、隣国中国での核実験により“死の灰”が上空のジェット気流に乗って日本に到達するとの懸念を伝えている。
一方、15日投票の英国総選挙で16日、開票の結果、野党労働党が僅差で過半数を制し、勝利した。政権交代は13年ぶり。労働党のウィルソン党首は16日、エリザベス女王から首相に指名され、組閣に着手した。
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ラスク米国務長官は64年9月「中国が近く核実験に踏み切る」と発言していたが、東京五輪の真っ最中に行われたことに日本は衝撃を受けた。しかもソ連のフルシチョフ首相辞任のニュースが世界を駆け巡った直後の実施だった。新潟市などで10月18日以降、核実験の影響とみられる放射性物質が検出される。(国名や組織・団体名、競技名、肩書などは当時の呼称に従っています。 共同通信=軍司泰史)
