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フットボールは理屈やない、気持ちやねん! 勝てるチームに必要な関西人気質

2020.9.3 15:03 中村 多聞 なかむら・たもん
多聞さんのアサヒ飲料時代の愉快なチームメート、OL昌原史卓さん(左)とDE中島祥彰さん=提供:中村多聞さん
多聞さんのアサヒ飲料時代の愉快なチームメート、OL昌原史卓さん(左)とDE中島祥彰さん=提供:中村多聞さん

 

 狭い日本で、競技人口もたいしたことがないアメリカンフットボールでリーグ優勝するには、作戦だとかトレーニングだとかではない部分、つまり「心」がどうあるべきかが肝心であるという持論を毎度展開しておりますが、この「心」に関連するお話をしたいと思います。

 

 通常のフットボールチームですと選手、コーチ、スタッフを合わせて20人から200人程度です。

 僕はこの中に「チームを良くすることができる人」が何割いるかが大切だと思っています。

 

 これは、与えられている役割をしっかり成し遂げることができる人の数ではありません。

 選手、コーチ、スタッフで自分の仕事をキッチリ遂行している人はもちろんたくさんいらっしゃると思います。

 しかし、それだけでは勝敗が決まらないからスポーツは面白いのです。特にチームスポーツは。

 

 働きアリの法則ってあるじゃないですか。よく働くアリ2割、普通6割、サボり2割ってやつです。

 この法則があるので使えない人や働かない人を辞めさせたところで無駄なのは、誰もが知るところですよね。

 

 でも、今回はどれだけ仕事をしたかではなく「チームを良くすることができる」というのがテーマです。

 これは、僕が内部から見たことのある「真剣にリーグ優勝を狙っているチーム」での検証結果です。

 

 強いチームになるには良い環境、良い指導者、良い選手を確保する必要があるのは誰にでも分かります。

 そういう絶対的な戦力の話ではなく、タダ(無料)で現状を打破し少しでもチームを良く(強く)するのはチーム内の人材次第っていう意味です。

 

 日本人と比べて、どう猛で陽気なのがアメリカ人だと思います。彼らが熱中する競技ですから、やっぱりどう猛で陽気な人が向いているんですよ、なぜか。

 複雑で膨大な作戦を記憶し、強烈な打撃や体当たりを食らい、3時間以上続く持久戦。

 炎天下でも雨でも雪でも無関係。ボールを投げる、捕る、猛スピードで走り急に止まる、曲がる、跳ぶ。運動の要素全てが含まれている難易度の高い競技を最後までハイテンションのままやれる人材。それはアメリカ人だけなのだと思います。

 

 これはそもそも気質なので、人種とかではなく子どもの頃からの環境が全てでしょう。そういうアメリカ人に近い気質の持ち主と言えば、ラテン系の国の人たちです。

 しかし、ラテン系の気質は緻密さが若干不足しがちなので、フットボールにはイマイチ向きません。

 そこでその次です。どう猛で陽気な人種を輩出している地域がありますよね。そうです。大阪を中心とした関西圏です。

 

 関東の人は真面目で寡黙で真剣な面構えで、カッコ良く活動するのが得意なように感じます。

 練習着やユニホームの着こなしは抜群。フィールドの隅から隅まで聞こえるような大声で冗談を言ったり、仲間をからかったりしません。

 自分を貶める自虐ギャグも少ないですし、そもそも会話に挟むジョークも洒落ていて、大爆笑用のネタではないことがほとんどです。

 

 しかし、関西圏ではそんなクールな振る舞いは「良し」とされませんので、自然と周りに巻き込まれていきます。

 練習中は陽気に大声でオラオラ言いながら喜怒哀楽を表に出し、カッコをつけずに泥臭くすることに抵抗がない人が多いんです。

 それができない人も多くいますが「バカだねー」と笑って一歩引いたりはしません。オラオラな心意気には賛同し「そういうノリの波」にはちゃんと乗れます。

 

 もちろん僕は関東の方でも多くのどう猛で陽気な人を知っています。皆さん見事に名選手です。

 ただ、ごく少数です。そのような気質の人は圧倒的に関西に多いと思っています。

 劣勢の時、苦しい時、周りを見て元気になってもらわないという思いから自然に冗談が飛び出します。

 カッコをつけない。いつも通りの元気な自分のまま、仲間と一緒に困難を乗り越え最後に笑いたいという流れになります。

 

 皆さんの周りにこうした「チームを良くしている人」はどれだけいますか? 勝てないチームにはこういう人材が少ないですね。

 関西人の元気な振る舞い、他の競技でも「博士」や「先生」といったちゃんとした方も、関西人の重要性に気付いていて「勝利するには関西人が重要」という説もあるようです。

 

 スポーツといえど戦いですから、作戦や理屈が幅を利かすのはわずかであって、人のチカラが大切です。そして強いチカラを発揮させるのは本人の心次第です。

 先日聞いた話です。とある強豪大学の練習中に全員で走り込みを少しして、息が荒いまますぐに寝転んで腹筋トレーニングをしましょうとなった時に、4年生の選手が「気持ち悪くなるからやりたくない」と真顔で言ってきたそうです。こんな選手がいると、周りにとてつもなく悪い影響を与えてしまいます。

 

 試合中、相手に良いプレーをされてベンチがションボリしている時、どんな気持ちで過ごしていますか? 全く動じず「さあ出番や、暴れたるで!」と本気で思えていますか?

 まずはやせ我慢でもハッタリでもいいので、笑顔で元気に振る舞ってみましょう。これは関西人にとっては簡単なことです。

 

 関西人は、臨機応変に練習でやっていないことを本番では笑顔でセコくこなします。「勝ちたい」「うまくなりたい」という気持ちをいつも表に出します。

 大声を出せば自分も他人も元気になると思っています。深刻な時ほどギャグを言わなければと思います。

 

 皆さんのチームにいるそんな関西人を「うるせー奴だなー」「バカだなー」と思わずに、彼(や彼女)を尊重してみましょう。きっとチームに良い影響を及ぼしてくれます。

 フットボールは陰気で無口な人には向いていないんです。陽気で豪傑で愉快な人のための競技ですから。

 

 フットボールは理屈やない、気持ちやねん!

 関東のフットボール選手の一歩引いた感じを理解できず愛せない、大阪出身のオラオラ系代表中村多聞でした。

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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