不安抱えキャンプイン 安全と健康の最優先掲げるNFL

2020年シーズンに向けてのトレーニングキャンプが、いよいよ7月28日からスタートする。
NFLはこれまで恒例の大学ドラフトをオンラインで行ったり、チームごとのミニキャンプを中止したりしてきたが、9月11日の開幕日だけは予定を変えずにここまで来た。
ただしプレシーズンゲームはすべて中止になったため、選手たちは実戦を経ることなくレギュラーシーズンに突入する。
アメリカでは新型コロナウイルスの感染者数は依然として増える一方だ。
感染者が出るのはNFLも例外ではない。NFL選手会は個人名こそ明らかにしていないが、7月22日現在で59人の選手が感染していると発表した。選手以外のスタッフを合わせるとその数は95人に及ぶ。
NFLは今季「リザーブ/COVID-19」という故障者リスト枠を新設した。新型コロナウイルスに感染した選手や感染者と濃厚接触があったと思われる選手が登録される。
チームは登録する選手の名前は公表するが、その選手が感染者なのか濃厚接触者なのかは公表できない決まりだ。
7月27日現在で、バイキングズのWRジャスティン・ジェファーソンやバッカニアーズの新人RBキショーン・ボーンら数人が登録されている。
これらの選手はほかの故障者リストと同じく、リストから除外されるまでは練習や試合に参加できない。
一方で、新型コロナウイルスへの感染を恐れて今シーズンへの不参加を決めた選手も複数いる。
スーパーボウルチャンピオンのチーフスのOGローレント・ダバーニーターディフが不参加を表明したのを皮切りに、シーホークスのOGチャンス・ウォーマック、レーベンズのKRアンソニー・ジャクソン、カウボーイズのCBモーリス・キャナデーたちが出場辞退を申し出ている。

NFLはこうした選手に対して15万ドル(約1600万円)のサラリーを前金として支払い、さらにチームとの契約が来年に持ち越されるという特別措置を取っている。
今季の出場を見送る選手はこれからも増えるかもしれない。23日に開幕した大リーグではマーリンズで集団感染があった。
複数の選手がPCR検査で陽性が出ていながらそのまま試合に出場したことが明らかとなっており、マーリンズだけでなくその対戦相手だったフィリーズの次節の試合も中止となった。
大リーグでもシーズン参加を見送った選手は少なからずいるが、そうした選手だけでなく現場の選手や監督たちからもシーズンの中断を求める声が出始めている。
MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーはシーズンを続行すると宣言したが、その決断に対する風当たりは強い。
懸念されていた感染者が大リーグで実際に出てしまったことで、NFLでも不安を大きくする選手が現れても不思議ではない。
野球とは比較にならないほどコンタクトの多いスポーツだけに、感染する可能性が高い。
NFLは常に選手の安全と健康が最優先だと主張する。トレーニングキャンプが始まるにあたり、その姿勢があらためて問われることになる。