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ホームゲームを無観客で実施するチームも 9月の開幕目指すNFL

2020.7.22 12:37 生沢 浩 いけざわ・ひろし
昨年7月のトレーニングキャンプで、選手の動きに目を光らせるチーフスのアンディ・リード・ヘッドコーチ(AP=共同)
昨年7月のトレーニングキャンプで、選手の動きに目を光らせるチーフスのアンディ・リード・ヘッドコーチ(AP=共同)

 

 アメリカでは今週MLBが4カ月遅れの開幕を迎え、シーズンが中断していたNBAもNHLも間もなく再開する。

 そして、NFLは予定通り9月11日の開幕を目指し、7月28日からトレーニングキャンプが始まる。

 しかし、すでに新型コロナウイルスの感染者が世界最多になり、一向に拡大に歯止めがかからないアメリカの状況を鑑み、選手からはキャンプインに向けて不安の声が多く上がっている。

 

 NFLは選手会(NFLPA)との協議を経てキャンプインの日程を確定した。

 キャンプの開始日から2週間は選手に毎日の検査を義務付けるなどの感染拡大予防策を講じてはいるものの、安全確保には不十分だというのが選手側の言い分だ。

 

 ブラウンズのDEマイルズ・ギャレットは「NFLが選手の健康に配慮しないのなら、2020年にフットボールは行われない。簡単なことだ」とツイートした。

 また、夫人が妊娠しているラッセル・ウィルソン(シーホークスQB)は「不安だ」と気持ちをストレートに表現し、「フットボールをしたいが、同時に愛する人たちを守りたい」と述べている。

 

 例年以上に故障への懸念もある。今年は各チームのオフシーズンプログラムがほとんど中止となり、春に行われるミニキャンプもすべてキャンセルされた。

 選手たちはオンラインによるトレーナーの指導に基づいて個々にトレーニングをしてきたものの、普段のこの時期に比べて体は出来上がっていない。

 そこで選手会はキャンプ期間を延長し、プレシーズンゲームを行わないようにNFLに求めた。

 

 プレシーズンゲームも、放送権料やスタジアム収入を考えれば重要な興行だ。

 NFLはプレシーズンゲームの維持を主張したが選手会の反発は大きく、ついにプレシーズンゲームをすべてキャンセルする案を提示した。選手会は21日にこの提案を了承し、選手に通達した。

 

 プレシーズンゲームを行わずに開幕を迎えることはデメリットも多い。

 首脳陣にとっては新しく導入する戦術や新加入の選手の実力を測る機会が失われ、選手にとっては試合での「本物の」スピードや当たりの強さを経験せずにレギュラーシーズンを戦わなければならないからだ。コンタクト練習の不足による大きな故障が起こる不安もある。

 

 そんな中、メットライフスタジアムを共用するジェッツとジャイアンツが今季の両チームのホームゲームをすべて無観客で行うと発表した。

 これはスタジアムが位置するニュージャージー州が「500人を超えるアウトドアイベントは当面禁止する」との方針を打ち出したためで、メットライフスタジアムでの試合も例外ではないとされた。

 

 新型コロナウイルスによる影響が収束に向かい、同州の方針が変われば観客動員が認められる可能性は残されているが、現時点ではジェッツとジャイアンツはファンの声援のない中で試合を行うことになる。

 

 観客による「クラウドノイズ」のないフットボールゲームなど想像もつかないが、こうした流れはほかのスタジアムにも影響を及ぼすかもしれない。

 世界中でプロスポーツが「解禁」となっているが、観客を入れて試合を行っているのは日本のプロ野球とJリーグ、大相撲くらいだ。

 

 NFLのほかのチームもジェッツとジャイアンツに倣って無観客試合を開催する方向に向かっても不思議ではない。

 ただし、今後MLBが観客を入れるなどの緩和措置をとることがあればNFLもそれに追随しやすくなる。まずは様子見となるだろう。

 

 気がつけばNFL開幕まであと約50日。キャンプは無事に行われるのか。予定通りに開幕を迎えられるのか。

 未知のウイルスが猛威を振るうなか、もはや何が起きても不思議ではなく、予断を許さない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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