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【4263】木戸泉 Afruge Ma Cherie 2016(きどいずみ アフルージュ マ シェリー)【千葉県】

2020.7.11 20:50
千葉県いすみ市 木戸泉酒造
千葉県いすみ市 木戸泉酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑦】

 コロナ感染防止のため、東京などで予定していた飲み会が次々中止になっていった。現時点で、中止になった飲み会は、今月だけで6件。出費が抑えられるからいい面はあるが、わたくしの場合、飲み会を、この「日本酒津々浦々」の取材に充てているので、取材の機会が失われ、執筆・掲載に支障をきたすことになる。

 そこで、自力で近所の居酒屋に取材に行かなければならない。当然、酒の銘柄に偏りが出てくるが、正常化までの“つなぎ”だから、止むを得ない。ということで、なじみのB居酒屋の暖簾をくぐる。よもや、このような状況になるとは思っても見なかった。

「惣邑」「白隠政宗」「寒菊」「平井六右衛門」「篠峯」「七田」と飲み進め、7番目にいただいたのは「木戸泉 Afruge Ma Cherie 2016」だった。木戸泉酒造のお酒は、当連載でこれまで、9種類を取り上げている。かなりユニークな酒を次々と繰り出す、非常に意欲的な蔵で、わたくしは関心を寄せている。

 さて、今回のお酒は、瓶の裏ラベルによると、シェリー樽で貯蔵したもの。さらに、複数の酒屋さんのサイトによると、「木戸泉『AFS』製法(高温山廃一段仕込み)の純米酒をシェリー樽で6カ月熟成、その後約1年半の貯蔵熟成をさせたお酒」という。

「AFS」について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「木戸泉では、天然の生の乳酸菌を用いて高温で酒母を仕込む高温山廃酛で、麹菌・乳酸菌・酵母菌の3つの菌がのびのび発酵する酒母造り手法を50年以上変わらず守り続けています。(中略)日本酒は通常、原料の米・米麹などを3回に分けて仕込むことから三段仕込みと言われる仕込み方法が一般的ですが、この『AFS(アフス)』は原料の米・米麹を一度に全て入れて仕込む一段仕込みという方法で仕込みます」

 さらに、日本酒情報サイトの「SAKETIMES」は、以下のように説明している。

「山本有三の小説『真実一路』の舞台となった千葉の大原、太平洋に面する海水浴場近くの酒蔵が、木戸泉酒造。全国で唯一、高温山廃造りのみ酒造りだ。乳酸菌発酵による無添加で造られる酒は、しっかりした味の骨格と、太く豊かな酸を持ち、コアなファンが多い。特徴的なこの酸味を、もっとも生かした熟成酒が『AFS』である。安達源右衛門、古川董、庄司勇、酒を開発した3人の頭文字をとって名づけられた。 いわば“0段仕込み”。高温山廃酒母をそのまま搾って造っている。ただでさえ濃厚な高温山廃造りの酒が、さらに濃厚に進化して、酸味と甘味がパワーアップ。同量の酒を造るのに、三段仕込みの酒の十倍以上、手間をかけて造った貴重な酒。そして、その手の込んだ酒を、さらに数年以上熟成させて古酒にした。酸味と甘味が豊かな酒ほど、熟成すると美味くなるのだ。数年から、最も古いものは40年も熟成させている。熟成古酒は数あれど、ここまで濃厚な酸味があるのはAFSだけだ」

 また、樽の原材料はオーク材(ナラやカシ)だ。ウイスキー、ワイン、シェリーはオーク樽で貯蔵する。オーク材とひとことで言っても、北米産のホワイトオークやヨーロッパ産のスパニッシュオーク、コモンオークなどさまざまある。

 木戸泉酒造は以前、ワインで使用したオーク樽を使って貯蔵した「ORBIA 太陽 SOL」(当連載【3161】【3913】)を世に出している。オーク樽は経験済みだ。さて、今回のお酒はどうか。興味津々でいただいてみる。

 酒蛙「酸っぱい。酸が強烈。甘みもたっぷりある。甘酸っぱい。濃醇フルボディー。これは美味しい」
 仲居N子さん「強いにおい。これ、梅酒の香りだ」
 酒蛙「そうだ、そうだ」
 仲居N子さん「ロックにいい」
 酒蛙「うん、有り、だね。酸が強烈だ。日本酒というより洋酒っぽい」
 女性板前Kさん「たしかに梅酒を感じる」
 酒蛙「上立ち香は、紹興酒を上品にしたような感じ。含むとアンズの香り。梅酒というよりアンズの香りだよぉ!!! バニラも少し。これは美味しい。旨い」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように説明している。「新しい日本酒のかたち。熟成のもたらすスパイシーで複雑な香味が食欲をそそります。ワイングラスでゆっくりとお楽しみ下さい」

 また、裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合90%、アルコール分15%、シェリー樽貯蔵、製造年月2018.8」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。精米歩合90%という超低精白ぶりがすごい。一般的な食用米の精米歩合は約92%なので、ご飯と同じような精米歩合で醸したのだ。

 醸造元木戸泉酒造の酒名や蔵名の「木戸泉」の由来について、蔵のホームページは「この地で造り酒屋を始めた明治12年(1879年)。屋号である『木戸』に酒をあわらす『泉』で『木戸泉』を銘柄としてきました」と説明してい

 なお、酒名「Afruge」は、スペイン語で「果物」という意味。

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