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名称変更迫られる「レッドスキンズ」 人種差別問題で再浮上

2020.7.7 10:55 生沢 浩 いけざわ・ひろし
「レッドスキンズ」というチーム名に抗議するネイティブアメリカンの人たち(AP=共同)
「レッドスキンズ」というチーム名に抗議するネイティブアメリカンの人たち(AP=共同)

 

 ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性が白人警官の行き過ぎた行為によって死亡した事件に端を発した人種差別に対する抗議活動は、NFLの人気チーム、ワシントン・レッドスキンズの名称問題にまで発展した。

 

 「レッドスキン」とはネイティブアメリカンの肌の色を指すもので、差別的なスラング(俗語)と広く認識されている。

 レッドスキンズは1933年からこれをニックネームとして使用している。これまでも人権擁護団体を中心に名称の変更を要求してきたが、その都度却下された。

 特に現在のオーナーであるダニエル・スナイダー氏が、1999年にチームを買収してからは一貫して名称変更を拒絶してきた。

 

 ところが、今回ばかりはスナイダー氏も強硬姿勢を維持するのは難しくなってきた。チームのスポンサーが、強く名称変更を要求してきたからだ。

 物流サービスの大手「フェデックス」は、1999年からレッドスキンズのホームスタジアム、フェデックスフィールドのネーミングライツを保持している。

 2025年まで有効なこの契約にフェデックスが支払った金額は2億500万ドルで、同社のフレデリック・スミスCEOはチームの少数株主でもある。

 チームスポンサーからの要求に影響を与えているのは投資家だとされる。

 「レッドスキンズ」という名称のために、スポンサーの名前にきずがつけばそれだけ投資家も損をする。そこで投資家たちはフェデックスやペプシなどレッドスキンズのスポンサー企業に「圧力」をかけたのだ。

 

 また、AP通信によれば大手スポーツ用品メーカーのナイキは、オンラインサイトからレッドスキンズ関連の商品をすべて削除した。NFLの32チーム中、レッドスキンズだけが商品を検索することすらできない状態だ。

 

 外堀をじわじわと埋められた形のレッドスキンズは、名称変更について「徹底的に検証する」と述べるにとどまり、明言は避けている。

 レッドスキンズの名称が、チームの伝統と誇りの象徴と主張するスナイダー氏の歯がみする姿が想像されるが、昨今の人種差別に反対する大きなうねりを考えれば、名称変更は避けられそうもない。

 

 今季からレッドスキンズの新ヘッドコーチに就任し、自らもヒスパニック系であるロン・リベラ氏は名称変更についてスナイダー氏と議論を重ねているとし、「今季の始まる前に名称が変わればすごいことになる」と述べて、早ければこの数週間のうちにも新たなニックネームとなる可能性があることを示唆した。

レッドスキンズのヘルメットを手にして就任の記者会見に臨むロン・リベラ新ヘッドコーチ(AP=共同)
レッドスキンズのヘルメットを手にして就任の記者会見に臨むロン・リベラ新ヘッドコーチ(AP=共同)

 

 旧AFLとNFLが合併した1970年以降で、本拠地を移転した場合を除いてチームのニックネームが変わった例はない。

 スーパーボウル3度優勝の名門チームが名称を変えるとなると大きな「事件」だが、これも時代の流れなのかもしれない。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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