【4236】若波 純米 生酒(わかなみ)【福岡県】

【S居酒屋にて 全12回の⑨】
仕事で知り合った飲み仲間TとA、そしてわたくしと元同僚のW。この4人で飲み会を開いた。場所は銀座のS居酒屋。キャパが大きく、置いている酒の種類も非常に多い。フロアマネージャーのような方は酒にめっぽう詳しい。酒の勉強をするのにもってこいの店だ。お酒はフロアマネージャー的なSさんにすべてお任せだ。
「ゆきおんな」「初亀」「天明」「魔斬」「御慶事」「楯野川」「真稜 至」「大倉」と飲み進め、9番目にいただいたのは、「若波 純米 生酒」だった。「若波」「蜻蛉」など若波酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、15種類を取り上げている。肩の凝らない普段着的なお酒で、飲むとほっこりするタイプ。しかし近年、モダンタイプの「若波 純米吟醸 山田錦」「若波 純米吟醸 雄町」を世に出し、勝負をかけている。さて、今回のお酒はどうか。いただいてみる。
酒蛙「正統派。甘みが来て、次に酸が来る。すこしバナナ香があり、やわらかな口当たり」
T 「オーソドックスなお酒」
W 「実直なお酒」
T、酒蛙「そうそう。蔵元杜氏さんが実直。お酒には杜氏さんの心が反映される」
W 「ほっとする酒だ。旨い」
酒蛙「クラシックタイプとモダンタイプの中間を行くような立ち位置に感じる酒だ」
T 「日本酒らしい酒だ」
酒蛙「バランス良くまとまっている。甘旨酸っぱくて、中でも酸がはつらつ。後味の苦・辛みが全体をまとめているイメージで、全体的にやさしいお酒。飲み飽きしない」
W 「本当に旨い」
酒蛙「火入の『若波 純米』も美味しいけど、この生酒の方がさらに旨いとおもう」
フロアマネージャー的Sさん「私もそうおもいます」
瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合65%、アルコール分15%、製造年月2019.12」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。この蔵の過去の傾向から、「夢一献」か「寿限無」を使っているとおもうのだが・・・。
酒名「若波」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「大正11年創業。蔵の傍を流れる筑紫次郎(筑後川)のように『若い波を起こせ』と銘々されました」。ホームぺージのトップページに書かれている言葉である。