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武漢の邦人退避、舞台裏が判明 中国人企業家が協力、バス確保

2020.5.23 10:08 共同通信

 【北京共同】日本政府が1~2月、新型コロナウイルスの感染拡大で封鎖された中国湖北省武漢市からチャーター機で邦人を退避させた際、現地の企業家の中国人男性が協力し、市幹部に直接交渉して確保したバスで多くの邦人らを空港に送り届けていたことが23日分かった。

 大規模な邦人退避の舞台裏で果たした重要な役割について、在北京日本大使館の関係者らは「協力がなければ安倍晋三首相が表明した希望者全員の帰国は実現しなかった」と振り返った。

 男性は自動車関連ソフトウエアを手掛ける「武漢光庭情報技術」会長の朱敦尭さん(56)。封鎖後の1月26日、日本大使館から邦人らを空港に送るバスと運転手の手配を依頼された。

 チャーター機第1便では順調に邦人らを空港に送り届けたが、帰国した邦人に発熱の症状があり、感染を恐れて送迎を拒む運転手も出たため、第2便(同30日帰国)ではバスの手配が難航した。

 何とかバスはかき集めたものの、「戦時状態」で外出を厳しく制限された武漢を走行できる「通行証」がなく、途中での「足止め」(朱さん)が強く懸念される状態に。

 邦人を迎えに行く出発時間が迫り緊張が高まる中、朱さんは思い切って武漢市副市長に直接電話。通行証を持つ国有のバス会社の車両11台と運転手の確保に成功した。最終の第5便までこれらのバスを使い、邦人らを空港に送り届けた。

 朱さんは日本政府の奨学金制度で1993年に東大大学院に留学後、光庭を立ち上げた。自動車部品大手デンソー、車載機器メーカーのクラリオンとそれぞれ合弁会社を設立するなど日本とのつながりは深い。「武漢の企業として当たり前のことをしただけ。感染が収まれば両国の経済、貿易関係をより発展させたい」と話した。