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コロナ、医療的ケア児の生活に影 衛生用品不足、支援強化訴え

2020.5.14 15:49 共同通信

大阪市の自宅で杏奈ちゃんに話し掛ける母の神崎牧子さん
大阪市の自宅で杏奈ちゃんに話し掛ける母の神崎牧子さん

 新型コロナウイルスの感染拡大が、日常的に医療行為が必要な子ども「医療的ケア児」と家族の生活に影を落としている。たんの吸引などに必要な消毒液などの衛生用品の入手が困難で、子どもが感染した場合の治療にも不安があるためだ。関係団体は家族らへの支援強化を訴えている。

 大阪市此花区の神崎杏奈ちゃん(2)は、出生時に「低酸素性虚血性脳症」で脳性まひとなり、慢性的な呼吸器不全に。人工呼吸器を付けた状態で日々を過ごす。

 唾液やたんの吸引が不可欠で、多い日には1日50回に上ることもある。母の牧子さん(36)がその都度、消毒液やアルコール綿で手指や吸引用チューブを清潔にして処置に当たる。ウイルスが付着して感染すれば、重篤化しかねない。

 以前から多めに確保していたことで衛生用品に余裕はあるが、店頭では入手が難しくなっている。収束が見通せない状況下で「なくなったらケアができなくなってしまう」と不安は切実だ。

 杏奈ちゃんが感染した時の心配も尽きない。かかりつけの病院はコロナ患者の受け入れ先ではないため、別の病院へ入院することになるが「本人の状態を知らないところが特殊なケアをできるのか」。自分が感染した場合に夫が長期間仕事を休めるのか、預け先があるのかといったことにも頭を悩ます。

 同様の懸念を抱える家族は多い。支援団体「ウイングス」(東京)が4月に保護者らに実施した調査(287人が回答)では、98%の人が「不安が高まっている」と回答。不安や困り事(複数回答)の内容では、86%が「保護者の感染時の預け先確保」を挙げた。「子どもが感染した場合の入院付き添いや治療に関する情報不足」が83%、「医療材料・衛生用品の不足」が76%と続く。

 団体の代表、本郷朋博さん(37)は支援強化を求める要望書を4月下旬に厚生労働相宛てに提出した。家族が感染した場合に備え、医療的ケア児の受け入れ先確保などを訴えており「家族の不安や負担を解消できるよう積極的に対応してほしい」と話している。