メニュー 閉じる メニュー

帝王切開でも愛着低下せず 母子関係で富山大研究

2020.5.13 17:51
 自然分娩(ぶんべん)でも帝王切開による出産でも、母親から子どもに向けられる情緒的な関心や愛情「対児愛着(ボンディング)」の形成にほとんど差はないことが、富山大病院周産母子センターの吉田丈俊特命教授(新生児学)らの研究で分かった。
 
 

 

 これまで帝王切開を愛着低下の要因とする報告もあったが、悪影響はないことが示された。
 吉田さんらは、環境省が2011年から継続している大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に登録された母親9万7415人のうち、多胎妊娠や分娩方法の記録がない人などを除いた8万2540人(初産婦3万6662人、経産婦4万5878人)を対象に、産後1年時点の愛着の程度を調べた。
 「赤ちゃんをいとおしいと感じる」「腹立たしく嫌になる」など10項目について「ほとんどいつも強くそう感じる」「全然そう感じない」など、4段階の表現のどれに自分の気持ちが最も近いかを尋ね、点数化したデータを解析した。
 すると、初産婦と経産婦の比較では、初産婦の方が愛着の程度が25・9%低かった。初めての出産による戸惑いの大きさなどが影響していると考えられる。
 次に「愛情の欠如」や「怒りと拒絶」といった否定的感情について分娩方法による違いを検討すると、初産婦と経産婦のいずれでも、帝王切開にリスクがあると示すような差はみられなかった。
 吉田さんは「帝王切開のお母さんは『私はちゃんとしたお産をしていない』と自分を責めることがある。自然分娩に比べ愛着形成が悪いと予想していたが、そうではなかった。これから出産する女性にとって安心情報になる」と話している。

最新記事