「気付くの遅かった」5回入所の70代受刑者が涙  U30のコンパス21部 女性刑務官の世界(3) 

2017年12月12日
共同通信共同通信
インタビューに応じる女性受刑者=岐阜県の笠松刑務所、2017年5月24日
インタビューに応じる女性受刑者=岐阜県の笠松刑務所、2017年5月24日

 笠松刑務所の中では、覚醒剤の使用や所持の罪で5回入所し計約17年を塀の中で過ごす70代の女性受刑者が取材に応じてくれた。「ここでさびしく死にたくない。気付くのが遅かったけど」。再犯を繰り返した人生を振り返った。


 最初の懲役は1982年。働いていたキャバレ―の同僚に誘われ、覚醒剤を使った。それから繰り返し罪を犯してしまったのは「意思の弱さやと思います」。刑務所で知り合った仲間と出所後に連絡を取り合い、結局薬に手を出してしまう。 「あとなんぼ生きられるか」。こう思ったのは、数カ月前に運動中に痛めた右足が治らなかったときだ。年齢を実感した。この日、初めて刑務所で泣いた。

 そのたびに身受けや就職の世話をしてくれた姉が、2年前に脳梗塞で倒れた。看病をするためにも、今度出たら薬の仲間とは絶対会わないと決めた。

 ここでは孫ほど年の離れた刑務官に厳しく指導されることもある。が、それも「更生させようと指導なさってる。若いのにえらいなぁと思います」と話す。厳しいだけでなく、入浴時に体が不自由な人を手伝ったりする「優しい面もあります」。

 息子や孫たちが面会に訪れ、帰りを待ってくれている。「私は恵まれている。こんだけ入所するのは甘え」。出所後は生活保護を受けながら、残された人生を姉のそばで過ごす覚悟だ。

 ▽取材を終えて

 「女子刑務官の新人がイメージしていた仕事内容とギャップを感じて辞めてしまう」という刑務所関係者のつぶやきが取材のきっかけでした。刑務官は、制服が似ていて一瞬では警察官と見分けがつかないかもしれません。裁判取材で法廷に入ったとき、被告に付き添っていたのが刑務官でした。実刑判決を受けた後にどんな生活を送るのか。実際に中に入って見た女子刑務所は、受刑者も刑務官も女だらけ。飛び込んだ塀の向こうにあったのは、厳しくも誠実に罪を犯した人と向き合う刑務官の姿でした。筆者は終始緊張していましたが、休憩中に雑談する姿をみて、意外と年齢が近かったと分かると、なんだか一気に親近感を覚えました。(第21部終わり、肩書、年齢などは取材当時、共同=篠崎真希29歳)

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