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育児するならシェアハウス 同居人と楽しみながら  U30のコンパス22部「支え合う暮らし」(1)

2017.12.26 16:00 大沼祐輔
シェアハウスで妊婦の茂原奈央美さん(左から2人目)のおなかを触る同居人の阿部珠恵さん(右端)ら。左端は奈央美さんの夫の栗山和基さん=東京都新宿区
シェアハウスで妊婦の茂原奈央美さん(左から2人目)のおなかを触る同居人の阿部珠恵さん(右端)ら。左端は奈央美さんの夫の栗山和基さん=東京都新宿区

 

 人口減少が進み、労働環境が過酷になっていく世の中には、重苦しい空気が漂う。そんな中、これまでの発想にとらわれず、身近な人と助け合いながら活路を開こうとする人たちがいる。シェアハウスでの子育てを試みる夫婦や、アイデアを武器に家業の水産加工会社を営む男性、岡山の一軒家に集うITオタクたち。明るい展望を描きにくい中、たくましく生きる姿を届ける。

 「あ! 今、赤ちゃん動いた」「触ってもいい?」。東京都庁近くの住宅街にある1軒のシェアハウス。リビングでは、住人がわれ先に妊婦のおなかを触ろうと行列を作り、にぎやかな声が飛び交う。予定日を10月に控えた茂原奈央美(もはら・なおみ)さん(32)と夫の栗山和基(くりやま・かずき)さん(34)は出会った時から、シェアハウスで子育てをしたいと話し合ってきた。

 2人は2014年4月に結婚した。ともに会社員で、奈央美さんは出産後もフルタイムで働くつもり。ただ、両親は奈央美さんが群馬、和基さんが埼玉で、あまり負担はかけられない。

 独身時代からシェアハウスで暮らし「家事が分担できて効率的。子育てにも応用できる」と思った奈央美さん。同じ考えの友人夫婦らを誘い昨年5月、今の家に引っ越した。一戸建ての7LDKに19~34歳の男女12人が住む。ベンチャー企業役員や政治家秘書、大学生など職業はさまざまだ。

 「私、赤ちゃんをあやすの得意なんです」。妊娠を告げた時、同居する女子大生からこう言われ、ホッとしたことを奈央美さんは覚えている。基本的に育児は夫婦2人でこなすつもりだったが、迷惑を掛けないか不安もあった。それだけに「妊娠、出産を受け入れて、喜んでくれたことがうれしかった」と振り返る。

 阿部珠恵(あべ・たまえ)さん(32)は奈央美さんの元同僚で独身の頃からの同居人。夫婦が食事する時などに子守を手伝うつもりだ。「『他人の子育てを手伝うのは大変じゃない?』と言われることもある。でも、次は私の子育てを助けてもらうとか、お互いさまで暮らしていければいい」。奈央美さんらとは「ほかにも子どもができたら、お金を出し合ってベビーシッターに来てもらうのもいいよね」と話している。

 一方で、阿部さんは「子守中の事故など何かあったらと思うと心配」。それでも2人は「誰が面倒見ていても起こること」と受け入れる覚悟だ。

 夫婦としても、子どもの夜泣きなど心配事はある。ただ、同居人たちは「耳栓して寝ればいいんじゃない」「それだと目覚まし聞こえないじゃん」と笑いながら話し、意に介さない。「甘いと言われるかもしれないが、そういう様子を見ると子育てってもっと周りに頼ってもいいんだと思えた」と奈央美さんは話す。

 家族以外に手助けを求めにくい殺伐とした世の中。けれど、頼れる人が多いほど子育てはもっと楽になるはず。2人は頼れる同居人とともに子育てを全力で楽しむつもりだ。

 ▽取材を終えて

 自分が妻と共働きということもあり、良いアイデアだなと興味を持ったシェアハウスでの子育て。しかし、世間の反応は厳しいものが多いようだ。茂原さんは、取材中「同僚の女性から、何一つ理解できないって言われたことがあって。(自分の考え方は)マイノリティーだと思う」と話してくれた。それでも、夫の栗山さんが「全員が同じ考え方をする必要はなくて、選択肢の一つとしてシェアハウスでの子育てもあるよね、と考えてもらえれば」と言うように、少数意見を意見として認められる、多様性のある社会であってほしいと、今回の取材を通して感じた。(共同=大沼祐輔30歳)

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