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眞子さま効果で「恋の聖地」に!?

2017.9.8 11:00
(上)東京急行電鉄のステンレス製車両(旧8090系)を譲り受け、改造した秩父鉄道の7500系=7月20日、埼玉県秩父市、(下)名物となっている荒川の「長瀞ライン下り」=7月20日、埼玉県長瀞町
(上)東京急行電鉄のステンレス製車両(旧8090系)を譲り受け、改造した秩父鉄道の7500系=7月20日、埼玉県秩父市、(下)名物となっている荒川の「長瀞ライン下り」=7月20日、埼玉県長瀞町

 「『恋の聖地』として脚光を浴びており、早くも多くのカップルが押し寄せています!」。秋篠宮家の長女眞子さまと、国際基督教大学(ICU)時代の同級生で法律事務所勤務の小室圭さんがデートをされたと報じられた埼玉県長瀞町を訪れると、観光関係者らは眞子さま効果に胸を躍らせていた。

 故オードリー・ヘップバーンさんが好演した映画「ローマの休日」の場面を思い浮かべながら参加した報道陣向けのツアーで、新たな「恋の聖地」へと急浮上した「長瀞の休日」を満喫した。

 ハートに刺さる逸話に似つかわしく、東京都心部と秩父路を貫くのが「赤い矢」こと西武鉄道の特急用車両「ニューレッドアロー」10000系だ。池袋(東京)を出発した特急「ちちぶ」は、足回りを旧型車両から流用したモーターの大きな音を響かせながら住宅地と山岳地帯を駆け抜け、1時間半弱で西武秩父駅(埼玉県秩父市)にたどり着いた。

 徒歩約5分の距離にあるのが秩父鉄道御花畑駅だ。現在の主力は東京急行電鉄で活躍していたステンレス製車両で、各駅停車に乗り込んで約20分揺られると長瀞駅に着く。

 土産物店や飲食店が建ち並ぶ商店街を抜けると荒川の手前には、「ローマの休日」に登場した彫刻「真実の口」も顔負けの自然が作り上げた造形美が出現する。幅約80メートル、長さ約500メートルに及ぶ国指定の名勝・特別記念物の岩畳(いわだたみ)で、結晶片岩が隆起し、荒川が侵食することで畳が連なったような独特の地形が生まれたという。

 案内してくださった「秩父地域おもてなし観光公社」の地域マネージャー、小俣裕哉氏に「眞子さまと小室さんも岩畳を渡り歩いたり、自分撮りをしたりしていたのでしょうかね?」と空想に基づいて質問すると、「それが報道で知っただけで、いらっしゃったのをお見かけしたという情報は全くないんです」と残念そうな口ぶりだった。

 「ローマの休日」でヘップバーンさんが演じるアン王女は鼻をつまんでテベレ川に飛び込んだが、荒川ではずぶぬれになる心配はご無用。岩畳からの荒川の約3キロを、約20分かけて舟で下る名物の「長瀞ライン下り」があるからだ。

 私たちが乗船した秩父鉄道のライン下りは、始まりが大正4(1915)年にさかのぼり、約102年の歴史を誇る。流域の名所を案内する船頭の口上は、まるで“伝統芸能”を披露するように流ちょうだ。右側の岩を指さして「あれはゾウ岩と言うの」と説明するが、ゾウの形状とは思えずに首をかしげていると「ゾウに見えない人は諦めて!」と畳みかけられてしまった。

 ところが、しばらく進んで「そこに見えるのがカエル岩だよ」と示されると、カエルがたたずんでいる様子に見えるから不思議だ。名所のカエル岩を乗船客が目でしっかりと捉えられるようにと、その前に出現する“難問”で訓練をしてくれたのだろうか?

 船着き場で待ち受けていたのは映画でローマを駆け抜けたミニバイク「ベスパ」、ではなくマイクロバスだった。向かった先は、著名旅行ガイドブック「ミシュラン・グリーン・ガイド・ジャパン」で埼玉県初の一つ星に輝いた宝登山(ほどさん)神社だ。

(上)色鮮やかな彫刻が社殿に施され、日光東照宮をほうふつとさせる埼玉県長瀞町の宝登山神社=7月20日、(下)埼玉県皆野町の「秩父華厳の滝」。“本家”の華厳の滝と比べて「規模は小さいが美しさでは引けを取らない」!?=7月20日
(上)色鮮やかな彫刻が社殿に施され、日光東照宮をほうふつとさせる埼玉県長瀞町の宝登山神社=7月20日、(下)埼玉県皆野町の「秩父華厳の滝」。“本家”の華厳の滝と比べて「規模は小さいが美しさでは引けを取らない」!?=7月20日

 江戸時代末期から明治時代初めの間に建てられた権現造り(ごんげんづくり)の社殿は屋根の下に色鮮やかな彫刻が続いているのが特徴的で、国宝の「眠り猫」などが彫られた日光東照宮(栃木県日光市)をほうふつとさせる。

 日光市とのつながりと言えば、長瀞町に隣接する皆野町には「秩父華厳(けごん)の滝」という華厳の滝にあやかった名前の滝がある。入り口の案内看板は「(滝のランキングで)全国10位に選ばれました」「日光の華厳の滝より規模は小さいが美しさでは引けを取らない」といった歯切れが良い文言が並ぶが、出典や根拠は全く示されていない(苦笑)。

 宝登山神社の社殿には絵本の1場面のような装飾もあり、権禰宜(ごんねぎ)の松本晟さんが「中国で親などに孝行した24人を取り上げた書物『二十四孝』の物語を描いています」と説明してくれた。

 「ミシュラン・グリーン・ガイドで紹介されたことで、外国からの参拝者が増えたのではないですか」と尋ねると、松本さんはすかさず「外国人も割と来ていますが、最近は眞子さまと小室さんが長瀞でデートされたと伝えられたことで若いカップルの方々が目立ちますね」と目を細めた。ただ、実際にお参りされたのかどうかは「分かりません」という返答だった。

 「ローマの休日」では、歴訪中に最も印象に残った訪問都市を記者会見で尋ねられたアン王女が「何と言ってもローマです!」という名台詞を口にした。眞子さまと小室さんは9月3日の婚約内定発表の席で、デートで最も印象に残った訪問先を質問されて「何と言っても長瀞です!」とお答えになるのか!?

 眞子さまと小室さんのデート情報で盛り上がる「恋の聖地」こと長瀞町は、「真実の口」で語られることを待ち望んでいる。(2017・8・25)

 ☆大塚 圭一郎(おおつか・けいいちろう)共同通信経済部次長。「長瀞の休日」で疲れをいやしたのが、今年4月に開業した西武秩父駅隣接の複合型温泉施設「祭(まつり)の湯」。天然温泉のほかに、他地域の温泉を再現した露天風呂も楽しむことができ、お薦めです。