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貨物列車を撮ろう

2018.3.9 11:00 寺尾敦史
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恵比寿ガーデンプレイスの前を快走する貨物列車
恵比寿ガーデンプレイスの前を快走する貨物列車

 先日、東京の山手線と並走する貨物列車を見かけた。筆者にとって、ずいぶん久しぶりの光景だったので「まだ残っているんだな」と懐かしく感じた。山手線の近くを走る貨物列車は、めっきり数を減らしながらも活躍を続けている。さっそく“会いに”行った。

 山手線の内回り電車に乗ると、田端駅付近から池袋、新宿を通って大崎駅付近まで、すぐ脇を埼京線や湘南新宿ラインの電車が走り、何度もすれ違ったり抜かれたりする。もともと山手貨物線という貨物専用線だったのを、山手線の混雑緩和や私鉄との競争から旅客化し、かなり便利になった。

 旅客化に合わせてなのか、たまたま時期が重なったのか、沿線の貨物駅が廃止・再開発され、最近では貨物線を思わせる景色はほとんど無い。また、山手貨物線の旅客化と直接関係ないが、東京の都心近くでは汐留駅や飯田町駅などの貨物駅も廃止された。そんなこんなで、山手線かいわいでは、あまり貨物列車を見かけなくなってきた。

 山手貨物線には、正午ごろ池袋方面から大崎方面へ向かう貨物列車がある。JR貨物が誇る電気機関車「金太郎」ことEH500が、最後尾が見通せないほど多くのコンテナ車をけん引する姿はたくましい。時速70~80キロはあるだろうか、独特のモーター音を高らかにうならせ、さっそうと現れ去っていく。

 写真の金太郎の向こうに見えるのは、商業施設やホール、オフィスを抱える複合施設の恵比寿ガーデンプレイス。サッポロビールの工場の跡地で、最寄りの恵比寿駅は出荷用の貨物駅として誕生し、後から旅客を扱うようになった。いまでは工場も貨物駅もきれいに再開発され、人気のおしゃれスポットに生まれ変わっている。

 山手線を円に例えると、恵比寿駅のほぼ“反対”に位置する田端駅。東へ延びる線路は、JR貨物の隅田川駅を経て常磐線につながる貨物線だ。東京23区のJR線にしては珍しく、いくつも踏切があり、沿線にはビルのほか一戸建て住宅も並んでいる。

隅田川駅で活躍するハイブリッド機関車のHD300形(上)、リモコンで動く無人機(左下)、ポイント切り換え作業(右下)
隅田川駅で活躍するハイブリッド機関車のHD300形(上)、リモコンで動く無人機(左下)、ポイント切り換え作業(右下)

 

 2017年に開業120周年を迎えた隅田川駅は、常磐線と東京メトロ日比谷線の南千住駅前にあって訪問しやすい。改札口を出てすぐの跨線橋は、ちょうど隅田川駅の“付け根”をまたいでおり、足元の線路から奥に向かって扇状に広がる貨物駅を一望できる絶景スポットだ。通行人が多いので、居座っての撮り鉄は御法度だが、人通りが途絶えたタイミングを狙えば撮影できる。

 跨線橋を離れて隅田川駅の周辺を散歩すると、金網越しにターミナルを見学できるスポットが点在していた。ディーゼル機関車のようなオレンジの車両は、ハイブリッド機関車「HD300」。貨物駅で貨車や機関車を入れ換えるのが主な仕事で、各地の貨物駅に配置されている。

 保線車両のような黄色い車両は、リモコンで動く無人機だ。こちらも貨車の入れ換え作業に携わっていた。しばらく見ていると、無人機を操作していた係員が手動でポイントを切り換えた。ポイントが自動化された近年、まず見られない化石のような光景だ。この日の撮り鉄で最も貴重なシーンなのかもしれない。

 ☆寺尾敦史(てらお・あつし)共同通信社映像音声部