メニュー 閉じる メニュー
47リポーターズ

47リポーターズ

大山康晴名人も訪れた全伯名人戦

2019.11.8 10:00 女流二段 北尾まどか
大会紅一点の参加者、ベアトリスさん
大会紅一点の参加者、ベアトリスさん

 ブラジルこども将棋名人戦の翌日、8月25日に「第72回全伯名人戦」が開催された。1948年から続く歴史のある大会で、大山康晴15世名人も訪れたことがあるそうだ。1955年にブラジル将棋連盟が正式に登録され、全盛期には会員が1500人以上、名人戦の参加者は300人以上いたという。

 しかし、日本人移民が高齢化するにつれて、会員数や参加数は徐々に減少している。今年の参加者は約30人。広いブラジルの全国各地からこの大会のために集まってきた。大半が日系の方でリーグ表には漢字の名前が多い。その中でジェームス・M・トレドさんは一番レベルの高い、高段者のリーグに登録していた。大会には参加せず、会場内で対局を楽しむブラジル人のグループもあった。

 開会式では在ブラジル日本国大使館の真鍋尚志公使があいさつされた。大会関係者、参加者、これまでのすべての参加者に対して感謝の言葉を述べられた後、「この大会はこれまで日系社会において非常に重要な役割を果たしてきました。ブラジルでますます将棋が盛んになり、日本とブラジルの相互理解と友好関係のさらなる増進に貢献することを願っています」と述べられた。

 受付机に置かれたリーグ表を見て、各々が対戦相手を見つけて対局を行っていく。たくさん対局できるし、待ち時間も少ない。合間に指導対局を受けることもできるし、昼食も自由に取れる。他で見たことのない大会形式だが、これはこれで効率の良い方法だなと思う。紅一点の参加者、ベアトリス・メローニさんは1勝をもぎ取って笑顔を見せていた。鎌田ジュリアナさんの教え子で、学校のチェスのクラスで将棋を教わったそうだ。

決勝戦は高野さん(左)と浜さん(右)。浜さんが優勝した
決勝戦は高野さん(左)と浜さん(右)。浜さんが優勝した

 決勝戦は高野勇治さんと浜公志郎さんの対決となった。青野照市九段が大盤解説会を行うことになり、会場内をついたてで仕切って対局エリアを分ける。カメラやモニターなどの機材はなく、指し手をメモで伝達する必要があるため、私は記録係を申し出た。

 戦形は居飛車対四間飛車の対抗形。浜さんが居飛車穴熊にしようと左端の香車を上がった瞬間に高野さんが攻めた。玉は穴に入らないまま戦いとなったが、攻めを受け切ってから反撃に転じ、浜さんの勝利。浜さんは第57回で初優勝してから7度目の栄冠である。協賛のシーエンジ社からプロ公式戦でも使われている日本将棋連盟推薦の座布団が贈られ、「十五世名人 大山康晴」の書の入った優勝旗をうれしそうに掲げていた。

大山名人の名前が入った優勝旗を掲げる。左から2人目が優勝した浜さん
大山名人の名前が入った優勝旗を掲げる。左から2人目が優勝した浜さん

 

 今大会の主催者であるニッケイ新聞にお勤めの石川達也さんはブラジル将棋連盟の会員でもある。普及活動にとても熱心で、将棋イベントを開催しSNSで積極的に情報発信をしている。また今回は出張中で来られなかったが、在ブラジル日本国大使館の山田彰大使は将棋を世界に広める会の理事をされているほどの愛棋家だ。ブラジルの将棋普及は今がチャンスである。これからの数年で一気に現地の方の将棋プレーヤーが増えるのではないかと期待している。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

関連記事 一覧へ