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ブラジルこども将棋名人戦

2019.10.25 13:00 女流二段 北尾まどか

 

朝からにぎわうこども大会
朝からにぎわうこども大会

 スロバキアのヨーロッパ選手権の後、ポルトガルのリスボンを経由し、サンパウロへと飛んだ。日本とは時差12時間でちょうど昼夜が反対になり、南半球なので季節も逆になって冬の8月だ。ダウンジャケットを羽織りながら、いよいよ地球の裏側まで来たのだなと思った。

 早朝6時ごろの空港に、ブラジル将棋連盟の石川達也さんと島田政夫さんが迎えに来てくださった。程なくして青野照市九段も到着され、車で街中へと向かった。リベルダーデという日本人街は鳥居や日本風の橋があり、街灯はちょうちんの形をしていて、まるで日本国内の温泉地のような風景である。恥ずかしながら移民の歴史についてうっすらとしか知識のなかった私には、とても不思議に映った。

移民資料館に展示されていた将棋の駒
移民資料館に展示されていた将棋の駒

 その後「ブラジル日本移民資料館」を訪れて、1908年からの移民の歴史を学び、先人の苦労を知る。そしてこの街並みに込められた思いを感じることができた。展示品の中には将棋の駒もあって、移住者の手作りの品と聞いて胸に込み上げてくるものがあった。遠く離れたこの地で、どんな思いでこれを彫ったのか……。

 資料館のあるビルの1階で、8月24日に「第2回ブラジルこども将棋名人戦」が開催された。参加者である80人の子どもたちと、その保護者が集まって朝から大変なにぎわいである。どうしてブラジルでこれだけ多くの子どもたちに将棋が広まっているのかというと、チェスの講師であるジェームズ・M・トレドさん、鎌田ジュリアナさんご夫妻が学校で教えているからだ。

 本当はさらに多くの参加者が集まる予定だったが、引率の先生の都合で幾つかの学校の生徒たちが来られなかったらしい。それでも広い会場は十分すぎるほどの人で埋めつくされていた。参加者は「どうぶつしょうぎの部」と「将棋の部」に分かれ、それぞれの学年ごとにトロフィーとメダルが用意されている。「どうぶつしょうぎ」は1局が短いこともあって、勝負特有の厳しい空気ではなく、楽しそうに対局を繰り返していた。

 
表彰は学年ごとに行われた
表彰は学年ごとに行われた

 

 大会の終わりに「将棋と教育」というテーマで15分ほどお話させていただくことになった。今まで将棋の普及で27カ国を回って、各地の学校を訪問したこと。将棋をすることで培われる力…など。「将棋をすると頭が良くなります。これは本当でしょうか?」と聞くと、子どもたちは「YES!!」と一斉に大きな声を上げ、保護者たちも当然のようにうなずいていたのが印象的だった。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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