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イタリアのゲーム館を訪れて

2019.1.25 10:00 女流二段 北尾まどか
館長さんとのツーショット
館長さんとのツーショット

 

 イタリアは今回が2度目の訪問。前回は2004年で、その時はベネチアのバックギャモン大会に参加するのが目的だったので、将棋の普及活動のために訪れたのは今回が初めてである。

 ドイツのエッセンからミラノへ飛び、空港まで知人の岡勇さんが迎えに来てくれた。
 まずは腹ごしらえということで街中のレストランでランチ。オリーブの収穫シーズンであり、トリュフが旬とのこと。どれもこれもおいしくて、イタリアに来たことを体中で実感した。

イタリアの食事はどれもおいしい
イタリアの食事はどれもおいしい

 

 岡さんはフィレンツェの囲碁クラブで活動していて、つまり将棋メインではなく囲碁の人。つながりはエッセンのボードゲームフェアに共同ブースを出した09年からで、もう10年近くになる。

 「イタリアで将棋の普及活動をしたい」と相談したところ、囲碁関係の各方面に連絡を取ってくださり今回の計画が実現した。
 こうして快く協力してくださる方がいて、私の海外普及活動は成り立っている。いつもながらありがたいことだ。

教室サイズの小部屋。囲碁のポスターも
教室サイズの小部屋。囲碁のポスターも

 

 まずは「LA CASA DEI GIOCHI」を訪問。訳すと「ゲームの家」であり、広い館内にはゲーム大会ができる大きな広間といくつかの小部屋(といっても教室くらいの広さ)がある。
 ミラノの囲碁クラブや将棋クラブはここで開催されているらしい。

 館長のジョナタ・ソレッティさんにあいさつすると、お手製の大きな「どうぶつしょうぎ」セットを取り出してきた。
 イラストはヨーロッパ風に変えられ、こちらの子どもたちになじみやすい雰囲気。これを持って学校で教えているとのこと。

 

 私より前に「どうぶつしょうぎ」がここに来て、それを広めてくださっている方がいるなんて…。この驚きと喜びをどう表現したらいいのか。

 そして地下の倉庫へ。扉を開くと、壁全面の棚にボードゲームが詰まっていて、さらに収まりきらない物があちこちに積み重なっている。そしてそれが何部屋も続く。
 世界中のあらゆるゲームを集めた館長のコレクションとのことだが、どうみても一生かかっても到底遊びきれない量だ。

 

 元々館長は伝統的なゲーム、囲碁やチェス、バックギャモンの世界の人で、それらは衰退の一途をたどっていると感じている。
 「昔のゲームは一つに集中するので、今の時代に合わないのではないか。ここには現代的な短いゲームと伝統的な物の両方を集めた。マニアだけでなく、普通の人にも遊んでもらい衰退に歯止めをかけたい」

倉庫はゲームでいっぱい
倉庫はゲームでいっぱい

 

 近所には小学校が3校あり、1500人ぐらいの小学生がいるという。
 「週1回のペースで90種類のゲームを教えることを3年続けた結果、囲碁プレーヤーとして残ったのはたった3人。それで自分の考えの間違いに気付いた。大人は興味を持てばどこでも行けるが、子どもは両親を説得しないといけない。子どもにとってゲームが役に立つことを親に分からせる必要がある」。岡さんの通訳を挟みながら1時間ほど話は続いた。

 

 お礼に自作のゲーム「ナナホシ」を差し上げて、記念に一局。伝統ゲームを現代風にアレンジするのが私のゲーム作家としての作風である。
 “思いは同じだよ”というメッセージを伝えられただろうか。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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