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ヨーロッパ将棋選手権inオランダ~後編~

2016.10.14 13:59 女流二段 北尾まどか
巨大な穴熊をつくるマールテン君
巨大な穴熊をつくるマールテン君

 旅の一番の収穫はたくさんの出会い。いまやインターネットで世界中つながって、どこにいても連絡を取りあえる時代ですが、実際に顔を合わせて話すことはネットとは比較にならないほど、たくさん得るものがあります。

 将棋もそう。盤を挟んで相対したときの勝負の気迫は、オンライン対局では伝わらないもの。リアルに将棋を指す機会というのはヨーロッパの方にとって、とても貴重な機会なのです。

 このヨーロッパ選手権は100人以上の将棋プレーヤーが朝から晩まで将棋漬けで過ごす、まるで合宿のようなイベント。対局の合間のお昼休憩はみんなで一緒にサンドイッチを食べ、夜遅くまで会議やミニトーナメントなどのスケジュールが詰まっています。

 私は初心者へのレッスンを行いました。マールテンくんは早指しでどんどん駒を動かし、勝っても負けても「もう1回、もう1回」と挑んできます。しかしある時、穴熊に囲って負けたのがよほど悔しかったのか、ひとりで駒をペタペタと並べ始め、「と金」をいっぱいくっつけた巨大な囲いをつくっていました。これなら絶対負けないね。また指そうね。

 20時スタートのどうぶつしょうぎ大会は、大人、子ども混合で14人が参加しました。かわいい動物のイラストを前に、大人たちが額を抱えて局面をにらむ姿はなかなかシュールな光景です。対局時計を使って6回戦の真剣勝負。「どうぶつしょうぎ」は本気でやると一触即発の短期決戦なので、終わるころには皆さん集中力を使い果たした様子でした。

 盛況だったのが、日本将棋連盟の青野照市九段によるレクチャー。たった9マスで将棋の基礎が学べる、この夏発表となったばかりの「9マス将棋」の問題が大盤に並べられました。すぐに解けるものから、有段者でも難しいものまであって、感嘆のため息が聞こえてきます。中でも興味深かったのは、とある問題は私の感覚では解きにくく感じたのですが、「これはチェスプレーヤーにとっては簡単な問題だ」という声が上がったこと。チェスと将棋は相通ずるところも多いのですが、一方で全く違うテクニックを使うこともあるため、両方を同時に学ぶことは相互にプラスをもたらすと感じました。

 さて今回の大会で活躍したのはベラルーシ勢。リセンカ兄弟による情熱的な普及活動により、驚異的なスピードでプレイヤーが増えています。おそろいの将棋格言ユニフォームで団結力をアピール、優勝こそ逃したものの全ての部門でトロフィーを獲得しました。若者たちがメキメキと腕を上げているので、これから最も注目すべき国でしょう。この話はまた別の機会に。(北尾まどか)

ヨーロッパ将棋選手権inオランダ~後編~
ヨーロッパ将棋選手権inオランダ~後編~
ヨーロッパ将棋選手権inオランダ~後編~
ヨーロッパ将棋選手権inオランダ~後編~

 

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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