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世界を変えたカロリーナ~その2~

2017.3.31 11:34 女流二段 北尾まどか
リコー杯で女流三段に勝利
リコー杯で女流三段に勝利

 将棋の世界では女性のプレーヤーは極端に少なく、外国人もまた珍しい存在です。しかもカロリーナは、2011年6月の初来日の時から既にアマ四段の実力を備えていたので、知らずに対局した方々はさぞかし驚いたことでしょう。行く先々で話題になり、あちこちから取材を受けました。

 まだ日本語がほとんど分からないにもかかわらず、一緒に番組にも出演しました。ニコニコ動画の生放送「世界をつなぐSHOGIの輪~どうぶつしょうぎで国際対局」の収録中、彼女が発した言葉は「ショウギ、ショウギ~」ぐらいでしたが、それ故にむしろ将棋愛が強く感じられ、将棋のためだけによく日本まで来てくれたなあ、と喜びと感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 それからは数カ月おきに顔を合わせることになります。彼女が日本を後にしてから半月ほどで開催されたドイツのヨーロッパ選手権。その年の秋にパリで行われた第5回国際将棋フォーラム。各地の大会へと遠征している彼女の存在は、ヨーロッパのプレーヤーには既によく知られていて、日本で見た時より伸び伸びと将棋を指し、当たり前のように好成績を挙げていました。国際将棋フォーラムの世界大会では、日本代表として出場した当時のアマ女流名人にも勝利し、彼女自身も手応えを感じたことでしょう。

 その頃、チャットで「カロリーナは将来どうしたいの?」と聞いてみました。すると「うーん、何か仕事はしないといけないよね」と曖昧な返事。私は彼女の才能を高く評価していましたが、将棋の道を勧めるのは勇気のいることです。想像するだけで山ほどのハードルがあり、はるか遠い夢のまた夢。しかし私の心の片隅に、小さな期待が芽生えました。おそらく、彼女も。

 そして2012年の5月。再び来日の機会が訪れました。リコー杯女流王座戦(プロ女流棋士の棋戦)に海外招待選手として招かれたのです。その時も早めに来て2週間以上滞在し、将棋三昧の日々を過ごしました。毎日出掛けて将棋を指し、毎晩、詰め将棋やネット対局。そして見事、女流三段に対して勝利を挙げたのです。この歴史的な1勝はテレビや新聞などで大きなニュースとなり、カロリーナは一躍有名になりました。(北尾まどか)

ニコニコ動画収録後のワンシーン(左は北尾まどか二段)
ニコニコ動画収録後のワンシーン(左は北尾まどか二段)
ドイツのヨーロッパ選手権で対局するカロリーナ(手前右)
ドイツのヨーロッパ選手権で対局するカロリーナ(手前右)
パリの国際将棋フォーラムでアマ女流名人に勝利
パリの国際将棋フォーラムでアマ女流名人に勝利
対局前日は「とんかつ」で験担ぎ
対局前日は「とんかつ」で験担ぎ

 

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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