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将棋普及を志す上海人グループ

2017.12.22 17:00 女流二段 北尾まどか
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上海の20代、30代の若者が集まって将棋を指す
上海の20代、30代の若者が集まって将棋を指す

 日本将棋連盟のWEBサイトに掲載されている海外の支部はヨーロッパ18、アジア14、オセアニア1、北米9、南米4の計46支部。大抵は1カ国に1支部となっているところ、アメリカと中国は国が大きいこともあって複数の支部が登録されています。

 前回のコラムに登場した湯順傑さんは「龍将会支部」の支部長も務めています。私たちは学校訪問のあと、その足で支部の集まりに参加しました。隠れ家的なレンタルスペースに、14人の20代から30代の若者が集まって将棋を指しています。棋力は下で初段、上は五段とかなりハイレベル。この日はトーナメントを行い、それと並行して指導対局を行ったところ、皆さん力強い将棋でこちらがとても苦戦しました。

 対局の合間に軽食をとりつつ深夜まで将棋を指し続けましたが、疲れた様子もなく皆、とても楽しそう。帰り際まで感想戦に熱が入っていて、将棋にどっぷり漬かって全身で堪能しているのが伝わってきました。

 この「龍将会支部」が設立されたのは、2016年の8月です。現在の会員は将棋経験が10年以上のプレーヤー19人。週に1回、10数人で集まって、研究会もしくはトーナメントを行っているとのこと。こんなに頻繁に若者たちが集まって腕を鍛えている支部は、日本国内でも数少ないのではないでしょうか。

 翌日、湯支部長にインタビューしました。
 ―上海の支部を立ち上げようと思ったきっかけは。
 湯 きっかけはリコー杯女流王座戦の海外選抜大会で、選手として出場するためには支部の推薦が必要だったため、みんなで立ち上げようと考えました。上海には優秀な女性の将棋プレーヤーが何人もいるので、そのチャンスをつくりたかったのです。今のメンバーたちは、自分が将棋を指すだけではなく、上海の将棋の普及ために自分の力を役立てたいという気持ちがあって入会しました。
 ―今後の活動についての目標を聞かせてください。
 湯 将来のために小、中学校での普及をしたい。もっと人を増やして将棋に良い環境をつくりたいです。それから上海だけではなく、日本の大会に出たい。さらに機会があればタイトル戦や他の大会を上海で開催して、世界の強いプレーヤーと交流したいです。上海で国際将棋フォーラムのような大会を開くのが目標です。アジア支部対抗戦に参加してみて、強い人たちがいることが分かりました。自分たちを鍛えなければいけないことが分かったし、若い人を育てないといけない。まずは女流棋士を出したいです。

 そう。このインタビューの通訳者であり、龍将会支部の副支部長である黄晟佳さんは、以前この仲間たちに推され、女流王座戦のインターネット海外選抜予選に出場して優勝し、招待選手として日本へ来ました。その縁で私の弟子となり、いまは研修会に入って女流棋士を目指しています。周りの期待を背負って彼女がどこまで戦えるか。私にできるのは生活のサポートくらいですが、彼女の才能と覚悟を信じて応援しています。
 
 インタビューの最後を湯さんはこの言葉で締めくくりました。「私は将棋と一生ずっと一緒にいたい」。これを聞いて、私は胸に込み上げてくるものがありました。この道で生きていくという決意、私が女流棋士を目指すことを決めたときに口にした言葉と全く同じ。国を超えて共鳴する同志に出会えたことに、言い表せない感動と喜びを感じました。(北尾まどか)

 

女性も参加してトーナメント方式で対局
女性も参加してトーナメント方式で対局

 

龍将会支部の皆さんと記念撮影
龍将会支部の皆さんと記念撮影

 

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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